電子マネーの普及を受けて、これをマーケティングに活用する企業が増え始めている。キャンペーンなどのプレゼントとしては、従来は商品券や景品などのモノが用いられていた。これを電子マネーギフトにすることで、配送コストなどを大幅に削減できる。顧客への予算配分を増やせるので、双方にとってメリットが大きい。

利用環境の向上と
利用者増の好循環

 日本の生活者にとって、いまや電子マネーは欠かせない存在になりつつある。複数の電子マネーを使い分けている人、あるいは少額決済はいつも電子マネーという人も多いだろう。

 電子マネーが利用できる拠点数は着実に増加。ECサイトを加えると「使える場」はさらに増える。

gr1【図表1】主要電子マネーの利用可能拠点数
電子マネーが利用できる拠点数は着実に増加。ECサイトを加えると「使える場」はさらに増える。
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 まず、利用環境が向上している。電子マネーを利用できる交通機関や店舗、サービス窓口などは格段に増えた。図表1は、「楽天Edy」や「nanaco」など主要な電子マネーの利用可能拠点数を示したもの。交通機関やECサイトなどを含めると、電子マネーのカバレッジはさらに広範なものになる。 

 こうした動きを受けて、ユーザー層も拡大している。電子マネーを保有する世帯はすでに4割を超えており(図表2)、世帯当たりの月間利用金額も1万円を突破して増加の一途をたどっている(図表3)。 

gra2【図表2】電子マネーの保有世帯の割合は約4割
電子マネー保有世帯、および電子マネーを利用した世帯の割合は右肩上がり。電子マネーはすでに家庭に定着したといえるだろう。
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gra3【図表3】着実に増加する電子マネー利用額
1世帯当たりの月間平均利用額は2011年に1万円を超え、増え続けており、家庭の消費支出における電子マネーの位置づけも高まっている。
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 好きなときに、好きなところで使えるという利便性は、消費者にとって大きな魅力だ。電子マネーを保有・利用する人が増えると、未導入の小売事業者なども「ウチも電子マネーに対応しよう」と思うようになる。顧客の利便性を高めるための一種の競争である。その結果、電子マネーの魅力は一層高まる。この好循環は今後とも続きそうだ。