JFEシビルの「メタルビル建築」は、1966年に米国から導入された日本初のシステム建築。鉄鋼関連事業で培った技術力をベースに設計の総合力で実績を積み重ねている。
JFEシビルは1966年に米国・バトラー社から技術を導入し、システム建築を日本に定着させたパイオニア的な存在である。バトラー社は、システム建築が隆盛の米国でも老舗のトップメーカーだ。JFEシビルは、そのシステム建築の製品名「メタルビル」を日本で商標登録し、これまでに1600万平方メートルを超える施工実績を誇る。
同社は、国内大手鉄鋼メーカー・JFEスチールのグループ会社であるため、システム建築の材料をグループ内で製造できるのが大きな強みとなっている。標準化されたシステムの基本モジュールは300ミリメートルで、屋根や壁材もグループ企業のオリジナル製品だ。製造拠点を西日本と東日本に設け、施工現場に近い方から提供することで輸送費の削減を図る。メインフレームの鉄骨や、施工現場に近い鉄骨加工業者を起用し、地産地消によるコスト削減にも積極的に取り組んでいる。
「鉄鋼メーカー系として、建材用に開発された最新の製品を早めに導入できるというメリットがある他、耐震デバイスをJFEスチールと共同開発するなど、鉄に強い技術者を数多くそろえているのも当社の特長です」と平田浩司・システム建築営業部長は説明する。
鉄鋼メーカーの技術力と
絶え間ない技術開発
国内市場のニーズに応じた独自の技術開発にも積極的だ。その代表例が「キャップ式いちいち基礎工法」と呼ばれる基礎システムの開発。基礎・杭・柱を一体化させた独自工法で、コストダウンと工期短縮が図られる上、地中に埋設される大きなコンクリートの基礎梁が不要になるため、環境負荷の低減も実現する。職人不足の中で、「従来工法と比べて、基礎造りの型枠工事や鉄筋工事を8割ほど低減する」(平田部長)効果は大きい。累積施工件数は既に80件を超え、同社の大きな武器になっている。
そして、さらなる工期短縮を図るために開発されたのが「クイックメタル」システムだ。モジュールを限定し、部材をプラモデルのようにキット化したもので、工場、倉庫、店舗などの小規模建物に向いている。構造計算書が不要で、適合性判定が省略されるため、設計や確認申請期間の大幅な短縮につながる。また、認定の範囲内で設計を終えたユニットから形状を選択するため、概算見積価格の算出もスピーディに行え、あらゆる工程での時間を短縮する。すぐにでも建てたいという施主のニーズに応えてくれる。