「相続の基礎知識」と
「相続開始後の手続き」が体系的に学べる

 このような相続の基礎知識を体系的に学べる機会は意外と少ない。そこで今、注目を集めているのが「相続アドバイザー(3級)」という資格試験だ。

 2014年4月に銀行業務検定の一つとしてスタートした「相続アドバイザー(3級)」試験は、金融機関の窓口担当者が「相続に関する相談業務」に当たって必要とされる基礎知識や実践知識を試すものだが、受験資格は特に設けられておらず、誰でも受験できる。

 出題範囲は、「相続の基礎知識」から「相続開始後の手続き」まで幅広く、相続準備のために必要な知識を体系的に勉強するにはもってこいの資格と言える。

 峰尾氏は、「相続に関する民法の規定や、相続税の計算方法といった基礎知識はもちろん、そもそも銀行業務検定の一つなので、相続の際の銀行口座の手続き方法や不動産の相続登記に必要な書類など、煩雑な手続きについても実践的に学ぶことができます。これらの知識は、実際の相続手続きの際に非常に役立つと思います」と語る。

 また、相続に関する知識を学ぶことは、対策や手続きに役立つだけでなく、弁護士や司法書士、税理士、ファイナンシャルプランナーといったプロのアドバイスを理解するためにも有効だという。

「前提となる知識をある程度持っていなければ、どのアドバイスが有効で、どのアドバイスが有効でないのかを判断することもできません」(峰尾氏)。

 ちなみに、「相続アドバイザー(3級)」の受験勉強は独学でもできるが、「できれば受験のための講座に通って学ぶのが望ましいのではないでしょうか」と峰尾氏はアドバイスする。

「市販のテキストだけでも知識を学ぶことはできますが、講座では、具体的な事例などを挙げながら、よりわかりやすく知識を伝授してもらえます。一般の学習者にとっては、資格を取ることも大切ですが、相続に関する“生きた知識”を学ぶことも有益だと思いますから、その意味でも、講座に通ったほうがいいのではないでしょうか」(峰尾氏)。

 体系的な学習をすると、「少しでも早く相続対策をしておかなければ」という意識も高まるそうだ。相続対策や、相続にかかわるトラブルを回避するためには、できるだけ早く事前準備を進めておいたほうがいい。「相続アドバイザー(3級)」の勉強は、そのいいきっかけとなりそうである。