世界先端技術を有するも
IoTの導入進まぬ日本

 このようにIoTは、モノとモノ、モノとヒトがつながることによって、業務効率やサービスの質を向上させるだけでなく、既存のビジネスモデルの在り方までを大きく変える可能性を秘めている。

 欧米ではすでに、製造業に限らず、エネルギー、小売り、医療など、さまざまな分野においてIoTを活用する動きが広がっている。将来にわたって特に活用が期待される分野として、甲元プリンシパル・アナリストは、ヘルスケア、O2O(オンライン・トゥ・オフライン)、物流、在庫管理などの業種を挙げる。

IoTの定義と適用分野
出典:アイ・ティー・アール資料
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「日本でも、自動販売機をインターネットにつないで売れ筋情報の収集や温度管理を行うなどの先進事例はありますが、残念ながら、欧米に比べるとまだまだ遅れていると言わざるを得ません」

 そもそも日本では、IoTが新しいマーケットを切り開いていくのに役立つインフラであるという認識が依然として乏しいようだ。

「欧米では、スタートアップ企業がIoTを活用しながら、革新的なアイデアを新たなビジネスや産業に発展させた事例について、枚挙にいとまありません。

 発想を転換し、スピード感をもってIoTの活用に取り組まないと、5年、10年後には世界の産業構造がガラリと変わって、グローバル市場における日本企業の存在感が薄れていく可能性もあります」と、甲元プリンシパル・アナリストは現状に対して警鐘を鳴らす。

 日本では、IoTのエコシステムを構成するためのハードウエア、ネットワーク、ソリューションなどにおいて、世界の先端を行く技術が確立されているといわれる。法律上の規制や業界の垣根とどう折り合いをつけるか、そこに課題がある。