創造性を高めるのは
組織のかたちと、それを支えるオフィス
オフィスは、ここ数年で急速に「フリーアドレス制」や「フラットフロア」のレイアウトが広まってきた。壁や仕切りを取り払うことで社員同士のコミュニケーションを増やし、業務のスピードや効率性を高めることが主な目的だとされるが、実は企業にとって最大のミッションである「価値の創造」において、重要な効果があるという。
「今のビジネスでは、単に商品を生産するだけでなく、『付加価値を作る』『新しい価値を生み出す』ことが極めて重要です。そこで個人の発想を豊かにし、創造性を高め、それをアウトプットにつなげることが強く求められるようになりました。ですが、価値というものは本質的に一人で創造することができません。仮に素晴らしいアイデアを持っていても、それを認めてくれる他者がいなければ、価値は発生しない。つまり、コミュニケーションは価値を創造するための土台です。
個人のアイデアを周囲の人たちが認めて、それをチームで磨き上げ、会社として社会に送り出すというサイクルを社内に作り上げなければ、新しい価値は創出できません。単に仕事の効率やスピードを上げるためでなく、新しい価値を創造するための土台となるオフィスであることが重要なのです」
とはいえ、単純にコミュニケーションの量を増やせば新しい価値が生まれるわけではない。そこには明確な“志向性”が必要だと河田専務は指摘する。
「コミュニケーションの総量が増えても、各人の目的意識がバラバラでは、一つのプロダクトになる価値は生まれづらい。同じ目的を持ち、同じ志向性を共有しているからこそ、有用な価値が生まれるのです。企業としての目標、チームとしてのミッションを深く共有することで、社員はひとつの方向に向けて力をあわせられる。それを支えるのが企業の文化・風土であり、オフィスに込められたメッセージだと言えるでしょう」
「メッセージを込めた環境」とは、つまり場所に志向性を持たせるということだ。例えば、ProduceM4のワークスペースには、床が30cmほど高くなった「プラットフォーム」と呼ばれるミーティングエリアがある。そこでは部署や世代を超えて社員たちが集まり、気軽に会話を交わしてコミュニケーションを深めている。志向性のある空間を用意すると、人は“自然にそれに沿って利用する”という好例だろう。
「大切なのは、組織のミッションに沿った環境を作ること。必ずしもすべての部署にとってフリーアドレス制がベストではありません。企業として目指す目標を達成するために、どんな組織・制度が適していて、どんなオフィスを作ればいいのかを考える、という順番が重要です。部署によっては、従来通りの島型対向レイアウトが最適というケースもある。そこを間違えると、せっかくオフィスを移転したのに使いづらい、新しく制度設計をしたのに定着しない、などの問題が起きてしまいます」
こうした課題を解決するために、富士ビジネスでは今年新たに「ワークスタイルデザイン部」を発足させた。企業の目的、ミッションに応じて適切なワークスタイルを提案し、制度設計からオフィス作りまでワンストップのソリューションを提供することを目指していくという。
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