「おもてなし」の心を表現した
才色兼備のオフィスが社員の意識を変える
ここで、「ProduceM4」の内部を見てみよう。
まずは高級ホテルを思わせるようなエントランス。ここで表現されているのは「おもてなし」の心を大切にするという企業スタンスだ。
オフィスとは思えない美しくゆったりとした通路がまっすぐに伸びる空間は、顧客を「おもてなしの心でお迎えしたい」という富士ビジネスの企業理念が感じられる象徴的なエリアとなっている。
この通路を歩いてオフィスに入り、視線を外に向けると、背の高い窓から間近にそびえる東京駅の大きなシルエットが目に飛び込んでくる。東京駅や丸の内という歴史ある建造物、街並みを意図的にデザインに引き込み、美しい空間を作り出して顧客を迎える気持ちを形にした結果だ。
また、来客用に用意されたゲストルームは少々オフィスらしからぬほど優雅でスタイリッシュな内装が施されており、ここでも「大切なお客様をお招きする」という本社機能を持つオフィスにふさわしい位置づけがされている。
さらに、ワークスペースに進むと、旧オフィスでは部門ごとに分散していた管理部門と営業部門が1つのフロアに集約され、中心となるワークスペースには壁や仕切りを極力作らない“ノンテリトリアル”が採用されている。そして通常よりも広く取られた動線と、エリアごとに異なるメッセージが込められたスペースが複数用意されていることで、人が"動きやすいオフィス"になっている。これによってコミュニケーションを活性化させ、一体感が生まれる空間が演出されている。ワークスペースのコンセプトは「知恵・創造が生まれる場」だという。
「ProduceM4」のもう一つの特徴は、来客や見学者に公開されているライブオフィスとしての役割を持たされている点だ。そこに込められているメッセージも、「おもてなし」というキーワードである。
「『おもてなし』というのは当社の企業理念である"顧客志向"をわかりやすくした言葉です。利益追従ではなく、お客様の満足を優先させるという想いを、オフィスの機能に反映させているわけです。これは単にデザインやレイアウト上の特徴ではありません。
当オフィスでは毎朝“朝礼”を実施して、訪問者がある日は全社員に通知しています。それによって、例えば見学者がいらっしゃる時間帯はなるべくオフィスにいようとか、会議の時間をずらそうといった風に、全社的に“おもてなし”をするというムードが生まれる。
そのモチベーションが社員一人ひとりに定着することで、ほかの業務においても“顧客志向”の発想ができるようになるのです」(河田専務)
ライブオフィスの制度自体は、同社の京橋オフィスでも数年前から続けてきたという。当初は社員たちが慣れておらず、来訪者に対して挨拶をしない等の問題があったが、少しづつ改善を積み重ねていったことで、今ではかなり高い水準で企業理念である「おもてなし」の文化が培われているそうだ。
まさに、企業のミッションがオフィス環境のメッセージによって社員一人ひとりの意識に根付いたという、象徴的な事例といえる。
企業理念そのものを表現しているこのオフィスはリクルーティングやエンゲージメントの向上にも効果がある。採用の中で「ここで働きたいし、こういうオフィスを作ってみたい。他社への活動はもうやめました」という話を聞くようになったという。オフィスを見れば、将来の自分がどのような仕事をしているか想像できる。企業理念に共感し、意欲のある人材を惹きつける場としても、このオフィスが果たしている役割は大きい。
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