「システム+データ」を丸ごとバックアップしておけば、事故や災害が起きた場所とは全く別の所で企業のシステムを完全に復元することも可能になる。また、これは企業だけでなく、災害時の行政サービスなど早期の復旧が必要なシステムにも有効な対策になりそうだ。

 アクロニスでは、復元をスピーディに完了するためにユーザーインターフェースにも気を配っており、これには個人向けアプリケーションを10年以上、約500万ユーザーに提供してきたノウハウが生かされているという。データ復旧ソフトなどはめったに使うものではないので、操作のわかりやすさはとても重要だ。

クラウド時代でも
バックアップは重要

 アクロニスでは昨年末に、企業のデータとシステムをクラウド上にバックアップする新しいサービスを開始した。すでに国内企業でも2社が採用し、続く数社が導入テストの段階だという。物理的に遠隔地のサーバーにバックアップを取るのでなく、クラウド上に安全に保管することで企業のコスト負担を抑えることができる。このサービスは、クラウド事業者などパートナー企業との提携で、導入先を増やす計画だ。

「情報システムのクラウド移行が進む中で、中小型の企業内サーバにバックアップする市場は今後縮小すると予想されます。一方で、クラウドコンピューティングは企業の大小を問わず急速に拡大しています。当社としてもクラウドへの移行を最優先で進めています」(大岩氏)

 自社内のデータをクラウドにバックアップするという機能は理解できる。だが、そもそもクラウドのサービスを直接使う場合、そのサービスはデータのバックアップ(保全)も含めて提供されている。つまりアクロニスの出番はないようにも思えるが…。