UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の公式支援窓口である国連UNHCR協会では、難民援助活動を支えるために民間からの寄付の募集や広報・啓発活動に尽力。近年では、個人の遺産や相続財産の寄付も増加している。

緊急事態から帰還まで
難民問題の解決に向けて

「難民」とは紛争や政治的な迫害、人権侵害などを避けるために、他国に逃れた人々のことを指す。近年は、国境を越えず自国内で避難生活を送る「国内避難民」も増加している。

himori-1国連UNHCR協会
檜森隆伸 理事・事務局長

「現在、避難を余儀なくされている人々は世界中で約6000万人に達し、その半数以上が子どもという、第2次世界大戦後最悪の状況となっています」と、国連UNHCR協会の檜森隆伸理事・事務局長は語る。

 国連UNHCR協会は、国連の難民支援機関UNHCRの活動を支える日本の公式支援窓口として2000年に設立された。

 現在、世界約125カ国で約7000人のUNHCR職員が、約5500万人の難民・避難民の支援に当たっている。その人道的活動が評価され、UNHCRはノーベル平和賞を2度にわたり受賞。また、日本人では、緒方貞子氏が、第8代国連難民高等弁務官を務めた。

 UNHCRでは、紛争などの緊急事態から難民を守るために、世界中どこにおいても72時間以内に支援を開始する体制を整備。中長期に及ぶ避難生活では、将来、難民が自立する支えとなるよう、子どもには教育を、大人には職業訓練を提供している。

「難民にとって最も望ましいのは、平和が戻った故郷に帰還すること。しかし、紛争が長引き避難生活が長期化する場合には、避難先の国やその他の国へ定住できるように解決策を探すのも、UNHCRの重要な役割なのです」(檜森理事・事務局長)