TOEIC®プログラムを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(以下、IIBC)では、従来のリスニング・リーディング能力を測定するTOEIC®テストに加え、スピーキング・ライティング能力を測定するテスト「TOEIC® Speaking&Writing」(以下、TOEIC S&W)を2007年から開始した。企業や大学を中心に普及が進み、実践的な英語能力向上の手段として期待されている。
1979年に日本でスタートしたTOEIC®プログラムは、現在、世界150ヵ国、約1万4000の企業・団体で活用され、年間約700万人が受験。英語能力を測る世界共通の“モノサシ”として、大きな役割を果たすようになっている。
例えば、TOEIC®プログラムを実施・運営するIIBCのアンケート調査(「上場企業における英語活用実態調査」2013年1月に実施)によれば、約7割の企業が採用時にTOEIC®スコアを参考にし、15.8%の企業が異動や昇進・昇格の要件としているという。
このように社会的に浸透したTOEIC®プログラムだが、今注目を集めているのが、TOEIC S&Wと呼ばれる、スピーキングとライティング能力を測定するテストだ。
「言語には“聞く・読む”“話す・書く”の4技能があり、これまでの“聞く・読む”以外の“話す・書く”能力も測定してほしいという要望は以前からあったのですが、テストの性格上、いろいろな地域で多くの方に受験いただくことが難しい状況でした。それが、パソコンやネットワークの発達でテストが実現可能となり、07年からスタートしたのです」
そう説明するのは、IIBCの山下雄士常務理事だ。
複数の採点者が偏りの
ないように精緻に採点
TOEIC S&Wは、スピーキングテスト(20分間・11問)とライティングテスト(60分間・8問)で構成され、受験者はテスト会場でパソコンを使って受験。ヘッドセットを装着し、パソコンの指示に従って音声を吹き込んだり、文章を入力する。
解答データは、TOEIC®プログラムを開発している世界最大の非営利テスト開発機関であるETS※に送られ、ETS認定の複数の採点者が各設問の解答を採点。ネイティブや英語に堪能なノンネイティブスピーカーに通じるかどうかがスコアで示される。
「スピーキングテストでは、発音やイントネーション、アクセントについても評価されますが、重要視しているのは“伝わる英語”であること。スピーキングテストの後半には、メッセージを聞いてその問題の解決策を提示したり、あるテーマについて自分の意見とその理由を述べる設問があります。つまり英語力はもちろん、解答を論理的に組み立て、自分の考えを相手に伝えていくコミュニケーション能力が問われるのです」(山下常務理事)
TOEIC S&Wは、実際のビジネスシーンで出てくるようなトピックに沿って問題が出題されるため、テストに向けた勉強をすることで、必然的にビジネス英語の実践力が身に付いていくというメリットもある。