フィリピン在住19年。元・フィリピン退職庁(PRA)ジャパンデスクで、現在は「退職者のためのなんでも相談所」を運営する志賀さんのフィリピンレポート。2万ドル、約240万円の預託金を用意するだけで無期限にフィリピンに住む方法がある。退職ビザを取得することだ。ただし手続きが煩雑で、トラブルも多いという。志賀さんにアドバイスをもらった。

 フィリピンの退職ビザ(SRRV/Special Resident Retirees Visa)は、下記の特徴を備えた世界でも類のない万能ビザといえる。

(1)滞在期間に制限がなく、ビザを維持するためにフィリピンに滞在する義務もない。ただし、年会費360ドル(約4万3000円)を支払って、PRA(フィリピン退職庁)発効のIDカードを毎年更新する必要がある(更新手続きは代理可能)。

(2)フィリピンの出入国にあたって、再入国許可や出国許可などの手続きが不要。さらにACR(外国人登録票)も不要。IDカードがその代わりになる。

(3)35歳以上であれば、2万ドル(約240万円)の預託金でほとんど無条件で取得できる。配偶者と子ども(21歳未満で未婚)の同伴が可能(合計2名まで。3人以上は追加の預託金が必要)。就労もできる(ただしAEP〈就労許可証〉を取得のこと)。

(4)預託金を一定の条件のもとに使用できる。またビザをキャンセルする際には全額が返却される(利子も若干つく)。

 ただし、問題がないわけではない。退職ビザの取得のためには預託金が必要だが、この預託金の取り扱いに関する明快な指針がなく、申請者にとって頭痛の種になっている。そこで今回は、預託金をキーワードに退職ビザにまつわるルールや実務をまとめてみた。

1.退職ビザ取得のために必要な預託金の条件

 申請者が35歳以上50歳未満の場合、預託金は「クラシックプログラム」で5万ドル(約600万円)、「スマイルプログラム」で2万ドル(約240万円)。介護・療養を必要とする人の「ヒューマンタッチプログラム」は1万ドル(約120万円)に減額されるが、条件として月額1500ドル(約18万円)以上の年金を受け取っている必要がある。「クラシック」では預託金をコンドミニアムの購入や住宅の長期リースに使用可能だが、「スマイル」では投資への転用はできない。

 申請者が50歳以上の場合、「クラシック」「スマイル」とも預託金は2万ドル(約240万円)。年金を月額800ドル(約9万円、単身者の場合)または1000ドル(約12万円、夫婦の場合)以上受け取っている場合は1万ドルになる(クラシックプログラムの一部)。「クラシック」は預託金を投資に転用でき、「スマイル」は転用できないのは同じだ。

 預託金の他に年会費が必要で、同伴者2名までを含んで360ドル(約4万3000円)。3人目からは1名に付き100ドル(約1万2000円)追加される。条件が整っていれば、3年分の年会費を先払いして3年有効のIDカードを発行してもらうことも可能。これで、3年間何もしなくてもビザは維持される。

 退職ビザの取得にあたっては、これらの預託金を事前にPRA認定のフィリピン内の銀行に送金し、その証明書を申請書の一部としてPRAに提出しなければならない。その際重要なのは、海外(日本、香港、シンガポールなど)からの送金でなければならないというルールだ。

 フィリピンにある預貯金、あるいは現金を持ち込んで預金したものは認められない。ただし銀行が、外貨での定期預金などの原資が海外から送金されたものであるという証明書を出してくれればOKとなる。

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預託金の入金方法は?

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