3.預託金の使用

【クラシックプログラム】

 クラシックプログラムでは、ビザ申請から1カ月経過後、預託金をコンドミニアムの購入や住宅の長期リースなどに転用できる。ただし物件価格は5万ドル(約600万円)以上、自分自身の居住用で、かつすでに居住可能の状態であるなどの条件が付く。かつては下記のような物件にも使えたが、現在は適用対象外となっているので注意が必要だ。

(1)建設中のコンドミニアムを分割ないし一括で購入し、建設完了後引き渡されるプレセリング物件(プレビルドと呼ばれることもあるが、これは間違い)。ただし、頭金・分割金を自己資金で支払い、最終払いに預託金を充当し、直ちに物件が引き渡される状況ではOK(180日以内にタイトル〈権利書〉を退職者に移動するという販売者の覚書が必要)。

(2)土地のみを長期リースして、住居の建設に預託金を充当する。

 上記いずれの場合も、自己資金でコンドミニアムの購入を完了、ないし住宅の建設を完了して、それに基づいて預託金を使用することは可能だ。この場合の「完了」の意味は、申請者本人(コンドミニアムの場合)あるいは土地の保有者(土地付き住宅の場合)の名義でタイトル(権利書)が存在しているということだ。これが案外難しい話で、慎重に確認する必要がある。

 ちなみにコンドミニアムの場合、タイトルの発効は物件の完成から1年程度かかるので、その間は預託金の払い戻しは受けることができない。同じプレセリングでもPRAが認定した物件は預託金の使用が可能だ。これは、デベロッパーの完成引渡しが実行されなかったら、PRA預託金の返済を保障するというボンド(保険金)を積むためだ。

 PRAがタイトルを必要とする理由は、申請者による所有権が法的に保障されていることの確認、ならびに、タイトルに「PRAの許可なしに転売してはならない」という裏書をして、担保として抑えるためだ。裏書があると、ビザを取り消すか、あるいは代替の物件を担保に入れないかぎり、その物件を売却できなくなる。

 いずれにせよ、購入を決定する前に、預託金を使用できるかどうかPRAにヒアリングすることが肝心だ。

【スマイル/ヒューマンタッチプログラム】

 これらのプログラムでは、預託金はコンドミニアムや住宅の長期リースへの転用は認められておらず、銀行に塩漬けとなる。ただし“End Term Needs and Obligations”すなわち死に直面したときの入院費、埋葬費、その他の必要な経費に使用することはできる。具体的には、配偶者など家族の一員が、入院費や埋葬費の見積書、診断書ないし死亡証明書、および家族であることを証明できる書類をPRAに提出すれば、すみやかに預託金を引き出すことができる。

 DBPに預託金を預けてある場合は、病院や葬儀業者などに直接小切手が振り出される。上記の費用に使った後、残金は通常の相続手続きで処理する必要がある。

 もし家族と呼べる人がおらず、フィリピン人女性などに身のまわりの世話をしてもらっていたなら、その人に委任状を書いて入院費や埋葬費の支払いを委託しておくことだ。これを事前にPRAに提出し、認知しておいてもらえば、PRAとして支払先を検証する必要がなくことがスムーズに運ぶ。

次のページ

預託金の返金と相続は?

TOP