グローバル化が加速するビジネスシーンにおいて、今、企業は“採りたい人材”にどの程度の英語力を求めているのか? 投資銀行などハイエンドの転職に携わるアンテロープキャリアコンサルティング(以下、アンテロープ)の小倉基弘社長に、その実情を率直に聞いた。
コンサルティング
小倉基弘代表取締役
アンテロープがキャンディデート(求職者)に紹介しているのは、投資銀行やプライベート・エクイティ・ファンド、コンサルティングファームといった、一般にハイエンドといわれる業種である。完全な実力主義であるタフな世界であり、当然採用に当たって企業側の条件は高い。
そのうち、英語力を採用の条件として付けてくるのは、全体で8割ほどだという。
「いずれもクロスボーターのポジションなので、英語ができるのは前提条件で、あえて英語の条件を付けてこない企業もあります。つまり英語は話せて当たり前だと見なされているのです。そんな企業にとって、採用したい人材の英語力のレベルとは、“英語でビジネスができる”こと。つまり、入社直後からクライアントと英語で交渉やプレゼンテーションができるレベル。採用に当たっては、前職で英語を使っていたことが重視されます。若い人で経験があまりない人の場合は、海外留学の経験や帰国子女などの条件が評価されることもあります」と、小倉基弘社長は採用の実情を説明する。
求められる
アウトプットの英語力
とはいえ、職種によって、求められる英語力のレベルは違うという。例えば、交渉やプレゼンができるのが上級レベルだとすると、英文の契約書を読んだり、プレゼン用の資料を作れるのが中級レベル。Eメールや簡単な電話の対応ができるのが、初級レベル。もちろんどのレベルにおいても、アウトプットの英語力は必須条件になる。
「結局のところ、企業が求めているのは実践的な英語力です。最近グローバル人材とよく言われますが、ハイエンドの企業が求めているグローバル人材とは、一言で言えば“ビジネスを推進していく力を持っている”人材。英語力は前提として持っていて、コミュニケーションやリーダシップのスキルが高く、ビジネス上のパフォーマンスをきちんと出せる人材。英語ができればそれでいいというレベルではないのです」