空室待ちが出るほどの
人気物件の秘密とは

いかに評価額を下げるかが相続のポイント
現金で持っていると、額面そのままで評価されるところが、同じ額で賃貸住宅を建てると、最大60%程度の減額が受けられる。小規模宅地等の特例は、賃貸住宅の他、二世帯住宅や賃貸併用住宅についても200平方メートルまで適用でき、後者二つについては諸条件を満たせば80%減額になる。
※上記はイメージ
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 また、先の資産運用の第3のステージとして、土地活用を考える場合、余っている土地に賃貸住宅を建てるプランも浮上する。その際の作戦としては、「他の物件と明確な差別化をすることが大事」(藤川氏)だ。

 例えば、ペット用に足洗い場などの施設を備え、汚れが付きにくい高耐久クロスを使ったペット共生型物件、楽器を弾く人向けの遮音性が高い物件、あるいは車やバイク好きの人向けに各戸ごとにガレージが付いたガレージ型マンションなどが挙げられる。

 藤川氏によると、こうした個性的かつ付加価値の高い物件は、駅から遠くても、空室待ちが出るほどの人気を集めているとか。家賃を高めに設定できるのも強みだという。

 ただし、地域や立地なども勘案し、物件ニーズに関する市場調査や時流にアンテナを広く張る情報収集力、企画力などが求められる。

 さらに、賃貸住宅経営全体に言えることだが、“経営”というからには、マネジメントとして腰を据えて取り組む覚悟も必須と心得たい。例えば、管理や運営を一括で管理会社に任せる“一括借り上げ”を利用すれば、空室が発生した際にも一定の家賃が保証されているため、収支計画の見通しも立てやすい。

 だが、「定期的な賃料の見直しがあり、空室が多いと家賃を下げざるを得ないこともあります」と藤川氏は注意を促す。すべてお任せはご法度だ。一定期間を過ぎると、修繕などのメンテナンス費用も掛かるため、資金計画に余裕を持たせることも肝要となる。さらには、相続人の数も考慮し、現金と不動産を合わせた財産全体のバランスと分与の仕方を考えておくことも必要だ。

 投信の運用にせよ、不動産投資にせよ、相応の時間がかかる。早めの準備とスタートが肝心と心得よう。