創立10周年を迎えたレノボ・ジャパンは2015年11月11日、都内のホテルで事業説明会を開催。これまでの10年を振り返るとともに、"共創"をテーマとした中長期戦略「DREAM構想」について、代表取締役社長の留目真伸氏よりプレゼンテーションが行われた。
ほんとうのデジタルライフ、デジタルワークは
まだ実現していない
2006年にレノボ・ジャパンに入社、今年4月に代表取締役社長に就任した留目真伸氏は、レノボ・ジャパンの10年の軌跡を総括するとともに今後の戦略について次のように説明した。
「この10年、レノボ・ジャパンがやってきたことは、新しい時代のグローバル企業をつくることにほかなりません。もともと2005年にIBMからPC部門を譲り受けて発足しましたが、アジアと欧米の企業がほぼ同等の規模で一緒になっていく過程で、文化的な壁をいかに乗り越えて一つになり、新しい企業をつくり上げていくかが大きなテーマでした。
その後もNECのPC部門をはじめ多くのM&Aを行う中で、特定の文化的背景や国籍を持つ人間がマネージする会社ではなく、多くのバックグラウンドを持ち、フラットなものの見方ができる経営体制でビジネスを創出し、それによって先進国と新興国の双方の市場での成長を遂げる姿を当初からイメージしていました」
レノボの経営陣によって、日本のものづくりの強みを生かしながら、グローバルなオペレーションに搭載するという同社の試みは、過去10年で高い成果を収めた。グローバルでのPCの市場シェアは直近では21.2%で世界1位※。タブレットは世界3位、サーバーは世界3位、スマートフォンは世界4位となっている。日本でもPCの市場シェアは29.4%※に達し、売上高は2005年から2014年まで4倍に急拡大した。(※出典:IDC, Worldwide Quarterly PC Tracker 2015Q3)
これまでの成長の一方で、今後の方向性を探るに当たっては、ビジネスの本質を再認識する必要がある、と留目社長は話す。
「我々はパーソナル・コンピューティングの会社です。パーソナル・コンピューティングを人びとの生活や仕事に浸透させていくことが我々のビジョンであり、様々なM&Aを経て商品ラインアップが広がった現在も今後も、それは変わりません。しかしながら現状では、デジタルライフ、デジタルワークが実現しているとは言い切れず、パーソナル・コンピューティングの普及は道半ば。そこが大きな課題です」