「チーム・ジャパン」が今後も
テクノロジー開発をけん引

ThinkPadの歴史とこれからの開発体制について講演した、内藤在正 レノボ・ジャパン研究・開発担当副社長

 留目社長の講演に先立って行われた第1部では、IBM時代から「ThinkPadの父」として世界的にも知られ、レノボ大和研究所(横浜みなとみらい)でレノボグローバルの技術戦略を担ってきたレノボ・ジャパン研究・開発担当副社長の内藤在正氏が登壇し、その歴史を振り返った。

 日本の研究所が世界市場向けThinkPadの開発を担当することになったのは、日本アイ・ビー・エムの総合的技術力が背景にあり、開発に当たっては、「ビジネスツールとして、ユーザーがどこにいてもオフィスにいるのと変わらない生産性を提供し、ユーザーの成功を最終目的とすることを理念とした」と内藤氏は打ち明ける。

 1992年に発表された最初のモデル「ThinkPad 700C」は、当時の価格で約70万円という高価なツール。評価は高かったが、オーストラリアのユーザーから寄せられた700Cの故障機を見て、堅牢性を向上させるための取り組みが本格化した。その後の多種、多様化、そして再定義化を経て、2005年にレノボがIBMのPC部門を買収すると同時に、ThinkPadの研究・開発チームも移籍。環境は変わったが、変わらぬ理念、思想を情報発信していった。

 2012年にはThinkPad誕生20周年を記念して、中国で生産されているThinkPadの一部を、NECパーソナルコンピュータ米沢事業所(山形県)で受注生産することを発表。横浜と米沢が今後もレノボPCのテクノロジー開発をけん引し、競争力の高い日本の開発・製造モデルを目指すと、内藤氏は締めくくった。

 なお、事業説明会会場入口には、記念展示として、IBM時代から歴代の傑作マシンを展示した「レノボ博物館」も併設され、来場者の高い関心を集めていた。

 当日はこのほかに、ゲストとして株式会社ワーク・ライフバランスのパートナーコンサルタントである大塚万紀子氏、株式会社ABBALab代表取締役社長の小笠原治氏がそれぞれ登壇し、レノボ・ジャパンが提唱する「共創」に賛同の意を示した。

共創コミュニティの新たな展開

 また、本説明会の翌週の11月18日、共創の取り組みをさらに具体化する新たな発表があった。ICTによって社会的な課題解決を目指す協議会「digital economy council」(デジタルエコノミーカウンシル、以下dec:(ディーイーシー)が発足したのだ。

 レノボ・ジャパン、リコージャパン、三谷商事、インテルをエグゼクティブメンバーとし、21社の企業が初期メンバーとして参加。メンバー企業およびICT業界外から識者やユーザの知見を取り込んだコミュニティ活動を通じ、ICTによる社会的な課題解決を提言することを目的としている協議会だ。当面、「地方創生」「ワークスタイル変革」の2つの課題にフォーカスしたコミッティ(分科会)活動を行う計画だ。

 次の10年に向け、IT企業の枠を越え、共創による社会課題の解決に乗り出すレノボ・ジャパンの活動がスタートした。