グローバル化が進展する中で、高校卒業後の進学先として海外の大学も選択肢の一つになってきている。サピックス・代ゼミグループの海外大学進学プログラム「Y-SAPIX Global Campus(YGC)」では、海外大学進学に向けて本格的な取り組みが行われている。

サピックス・代ゼミグループ
髙宮敏郎共同代表

大学を卒業後、金融機関勤務を経て、2000年に学校法人高宮学園代々木ゼミナールに入職。05年に米ペンシルベニア大で教育学博士号(大学経営学)を取得。代々木ゼミナールの副理事長とSAPIX小学部・中学部やY-SAPIXを運営する日本入試センターの代表取締役副社長を務める。

 急激に進むグローバル化によって、今、子どもたちを取り巻く教育環境は大きく変化している。日本国内のみならず、世界の有名大学への進学が現実的な選択肢になりつつあるのだ。サピックス・代ゼミグループでは、その可能性を広げるため、2014年9月から、海外大学進学プログラム「Y‐SAPIX Global Campus(YGC)」をスタートした。

 YGC立ち上げの狙いを、サピックス・代ゼミグループ髙宮敏郎共同代表はこう語る。「現在議論されている大学入試改革の方向性にも合致しますが、われわれは、海外の大学へ進学する、あるいはグローバルな社会で活躍するためには、“対話力”と“多文化理解”と“論理的思考力”が欠かせないと考えています。YGCでは、この3つの力とアカデミックな英語力の育成を通じて、世界へ羽ばたく中学生・高校生をサポートしたいと考えています」。

対話型授業を通じて、
英語4技能を向上

 プログラムの名は「Academic Preparation」。海外大学進学に求められる英語による対話力と論理的思考力を高め、多文化理解を深める独自のプログラムとなっている。

授業は少人数制で講師を囲むかたち。この日の授業では、リラックスした雰囲気の中、YGCの松本先生と生徒たちが活発に討論しており、その様子はまるで米国の高校のようだ

「Academic Preparation」の特徴はオールイングリッシュによる少人数制対話型の授業。中学1年生から高校2年生までを対象として学年を混合、レベル別に四つのクラスに分けている。授業では、1ターム(学期)に1冊、英語の書籍を読み、その内容について討論することが中心になる。生徒が主体的に英語の書籍を読み込むことで、海外大学進学に必要な語彙を自然に身に付けていくことになる。

授業前の30分間は学習相談タイム。学習のつまずきや学習方法、海外大学進学に関する相談にものる

 また対話型授業を通じて、北米を中心とした大学進学適性試験であるSATや英語運用能力を測るTOEFLなどの試験対策にも対応、いわゆる英語の4技能をバランスよく向上させるプログラムになっている。クラスメートやバイリンガル教師との英語でのディスカッション、ディベート、プレゼンテーションなどで、論理的思考力や表現力が養われ、同時に世界の多様性が学べるのだ。

 入室に当たっては、英語力・論理的思考力などを総合して判断され、基本的な日常会話ができる程度のBeginnerから、多様な分野で高度な内容の会話ができるProficientまで、四つのクラスに分けられる。帰国子女が英語力のキープや向上の目的で通うケースもあれば、海外経験のない生徒でも海外大学進学を視野に入れて通うケースもある。