守りながら増やす
資産運用を実現する

 日本でもNISAが誕生し、年間100万円(※1)までの資金から得られる譲渡益や配当・分配金が最長5年間非課税になるなど、投資しやすい環境が整ってきている。では、リスクを取り入れた資産運用の第一歩にふさわしい商品とは何か。

「資産運用では、複数の資産や国・地域に分散してリスクを低減しつつ、物価上昇に備えてある程度の収益も確保することが重要です」(深野氏)

 数ある投資信託の中で、深野氏が注目するのが、その両方を兼ね備えた「DWSグローバル公益債券ファンド」だ。

「当ファンドは、電力・ガス・水道など、私たちの日常生活に不可欠なサービスを提供する世界の公益企業の社債に投資をします。公益企業は、長期的な事業の安定性が期待され、信頼度が高い業種です。先進国国債よりも高い利回りと他業種より低い信用リスクが特徴の公益債券への投資を通じ、中長期的に予測可能で安定的なリターンの提供を目指しています」同ファンドの運用チームの責任者であるウィードマン氏は、こう説明する。

 また、運用においては、グローバルネットワークを活用した綿密なチーム体制が重要だ。

「単一セクターではありますが、公益債券は幅広い国や通貨、発行体にわたった分散投資が可能です。各地のクレジット・リサーチアナリストが銘柄を調査・分析し、その情報を基にポートフォリオ・マネジャーが、高度に分散化されたポートフォリオを構築しています」(同)

 定期的な収益分配を目指すものの、「純資産の取り崩しにならないよう、債券の利息収入に見合った分配金となることを重視している」(同)点にも注目したい。

資産運用の
コア資産としても最適

 もちろん、リスクはゼロではない。「米国の利上げもリスク要因ではありますが、そのペースは緩やかなものになると見込まれ、金利が急激に上昇するリスクは低いとみています。また、利上げで値動きの幅が大きくなっても、ポートフォリオの平均最終利回りは3.5%(※2)と相対的に高いため、金利収入の積み上げがクッション効果を果たすと考えます。タイミングを選ばず、いつ運用を始めても安定したパフォーマンスが期待できるファンドです」(同)。

 海外債券に投資するため、為替変動リスクもある。深野氏も「円高になると運用で得られるリターンが相殺される可能性も。『為替ヘッジあり』コースなら、為替リスクを低減できます」とアドバイス。

「預貯金とリスクの高い資産との中間的な要素を持つ公益債券ファンドは、資産を守りながら増やすことが期待できる商品です。ビギナーは『初めの一歩』として、リスク資産の投資比率が高い人は資産運用の『コア資産』として活用するのに適していると思います。シニア層は毎月分配型を選ぶことで生活費+αが期待できますし、資産形成層は年1回決算型で老後資金の準備が見込めます」(同)

 幅広い投資家層に適した運用商品といえそうだ。

※1 2016年1月からは年間非課税枠は120万円となります。
※2 2015年10月末現在。