リーダーの育成こそ
サービスの要
女性活躍を実効性のあるものにするには、女性の希望に添う働きやすさや待遇改善を図るだけでは足りない。やりがいを持って仕事にまい進してもらうためには、社員一人一人のキャリアアップとチームとしての底上げが不可欠だ。そこで、ソラストが力を入れているのが、リーダーシップの強化だ。東京と大阪にキャリアセンターを設け、リーダー育成とキャリア形成のための研修プログラムの充実を図っている。
石川社長は「医療事務も介護も究極のサービス産業です。サービスでは、その質の向上こそがサービスの生産性を上げ、競争力につながります。全国どこでも均一で良質な『ソラストクオリティ』を提供するためにも、リーダーの力は重要です」と言う。
病院も介護も全国に広がる業態だけに、現場を統括するリーダーの責任は重い。各職場のチーフ、地域全体をまとめるマネージャークラスを正式に管理職として位置付け、年収アップ、マネジメント研修を課したのも、リーダー育成のための施策である。結果、ソラストの管理職の半数近くが女性になるという。そして、同社の育児休業取得率は97%にも上る。「一度休職しても復職してくる社員が多い。ワークライフバランスを経営ビジョンの中心に据えているのもキャリアを途切れさせてほしくないからです。そのためにも管理職登用があるわけです」。
もちろん、マネージャーとしての自覚や専門職としてのブラッシュアップなど、個人の努力に負うことも多い。職場でのチームワーク、育児や介護で急に休まなくてはいけないときでもカバーし合う「お互いさま」の文化など、数字には表れない価値も評価したいと石川社長は言う。
仕事の目的・価値を
伝えるソラストーリー
「ソラストとストーリーを組み合わせた“ソラストーリー”という造語は、そんなソラスト社員の価値を語る手段です。全国の社員が一堂に会するのは難しい業態ですから、ICT(情報通信技術)を用いて、全社でストーリーを共有する仕組みを考えました」
そこでも威力を発揮するのがキャリアセンターである。センター内には収録スタジオがあり、経営層のメッセージや活躍する社員のインタビューを収録、全国へのソラストーリーの発信基地としての役割も担う。
「医療や介護、保育も含めて、『やさしさ』や『安心』を提供する仕事です。そのためには、働く人自身にも『やさしさ』や『安心』を感じてもらわなければいけません。これは、女性活躍という範ちゅうを超えて、業界全体の使命だと思います」
石川社長の打ち出した経営ビジョンには、「医療事務・介護のイノベーションリーダーになる」という一文がある。社長の目は、業界全体の“働き方”の改革へと向いているようだ。