全国やアジアに張り巡らされた宅急便の「ラストワンマイル・ネットワーク」による、生活者の手元まで〝届ける力〟と、羽田CG内に集約された24時間・365日稼働している付加価値機能を一体化させることで、飛躍的なスピードと回転率の向上によって在庫が削減でき、様々な分野での企業の物流効率化やモノづくりをサポートしている。
物流に加え、周辺業務まで担う「付加価値」
サプライチェーンの効率化が経営の成否を握るといわれる時代。例えば、製造ラインに直結する部品や部材の供給に、宅急便ネットワークを活用すれば、スピードはさらに速まり、その分だけ在庫圧縮が可能になる。ヤマトグループが約40年の年月をかけて築き上げてきたラストワンマイル・ネットワークは、宅配という領域にとどまらず、企業物流の現場でも強力なアドバンテージを発揮する武器となり得る。
さらに羽田CGでは医療機器の洗浄、家電メンテナンス、オンデマンド印刷といった物流の周辺業務まで業容が拡大しており、それらを物流と一体的に提供している。
物流だけでなく、周辺業務まで担うこの機能によって、ヤマトグループのネットワーク力にさらなる価値が加わっている。
羽田CGを核としたさらなるネットワーク拡充も着々と進んでいる。ヤマトグループでは12年11月から沖縄国際物流ハブの運用を開始し、アジア主要都市と翌日配達で結ぶ輸送網を構築。さらに国内では厚木ゲートウェイ(13年8月稼働)に続くゲートウェイ機能として16年に中部ゲートウェイ(愛知県豊田市)、17年に関西ゲートウェイ(大阪府茨木市)を相次いで稼働させる計画。
これら総合物流ターミナルが完成すれば、これまで夜間が主体だった拠点間の幹線運行において、昼間でも拠点間を常に幹線トラックが行き交うシームレスなネットワークが構築でき、荷物の常時補給が可能になる。このため、より消費地や納品先に近い場所に在庫を分散しても総在庫量が増えない「在庫のクラウド化」が実現する。
いま、ヤマトグループが企業物流の分野で生み出している、新たな付加価値とは何か――。その具体的事例を羽田クロノゲートの現場で取材した。
(撮影/和田佳久)