前例がないからこそ
チャンスが見える
──なぜ、そのようにハイスピードで経営改革が進むのですか。
藤澤 インドネシアのケースを例に挙げると、取得した銀行の100%の株式保有が特例的に認められたからです。これは、外資参入規制が比較的厳しい同国において、異例中の異例です。
短期間で業績が回復したのは、このように優れた人材の確保がかなったり、規制を超えた認可が得られたりした結果ですが、それには、高い情報収集力と迅速な意思決定力が欠かせません。
そういう意味では当社の場合、社長の私が、アジア各国からあらゆる情報がいち早く集まるシンガポールに駐在し、自身で東南アジアを飛び回っていることが大きいと思います。トップがリスクを取ってその場で意思決定すれば、スピードの速いアジア市場での信頼は高まります。
──今後の戦略や豊富を聞かせてください。
藤澤 Jトラストインドネシア銀行は、タイ上場のリース会社であるグループリース社と提携して、日本製のバイクや農機具、太陽光パネルなどの割賦販売事業を展開していきます。
インドネシアの農村部では、経済発展とともに農機具の需要が高まっていますし、インフラが未整備なので太陽光パネルの普及余地も大きい。しかも、親日国家のインドネシアでは日本製品への信頼は絶大です。
その割賦販売を同じ「ジャパンブランド」として現地で高く評価されているJトラストインドネシア銀行が提供すれば、さほど時間をかけずに資産が大きく膨らむのではないかとみています。
銀行が割賦販売に関わるのはあまり前例がないと思いますが、大きな成長を果たすためには、既成概念に縛られることなく、銀行が自ら新しい市場を開拓し、新しい融資先を掘り起こし、新しいサービスを積極的に提供することが大事なのです。
インドネシアや韓国に限らず、今後もアジアでの金融事業を積極的に拡大し、国内での成長に続く「第2の成長ステージ」を駆け上がりたいと思います。