優先的検討指針は
市場拡大の追い風

 昨年12月に政府が打ち出した「優先的検討指針」も注目すべき動きだ。政府は人口20万人以上の都市に対して、PPP/PFIの導入を優先的に検討することを求めている。

 従来は、自治体がPPP/PFIを採用しない場合、特にその理由を説明する必要はなかった。しかし、今後は、施設などのハード(事業費10億円以上)やサービスなど(事業費101億円以上)については、まず、PPP/PFIを検討しなければならず、PPP/PFIを採用しない場合は、その理由を説明することが求められる。こうした施策は政府の本気度の表れと捉えてよいだろう。

 それでも根本氏によれば、「(政府が掲げる)12兆円という市場規模の目標数値は、PPP/PFIのポテンシャルから見れば過小だろう」と主張する。

「日本の名目GDPのうちの政府支出は125兆円です。そのうちの1割にPPP/PFIを導入したとすれば年間十数兆円、10年で100兆円を超えます。

 日本企業の高い能力を考えれば、アクションプランを1桁上回る目標を議論すべきではないでしょうか」

 では、さらなる市場拡大に向けた課題とはどのようなものか。根本氏が重視するのは意識改革である。

「根本的な課題は、危機感の共有です。公共サービスの維持などについて、国民の多くはいまだに『誰かが何とかしてくれる』と思っています。しかし、財政の悪化が避けられない中、すでに従来通りのやり方で何とかなるような状態ではありません。また、官尊民卑というか、公共サービスを民が行うことへの不信感も根強くあり、こうした意識を変えていく必要があります」

 人々の意識を変えるには時間がかかるが、それは避けて通れない道だ。国内のPPP/PFI市場が力強く成長すれば、その中から海外市場でも戦えるPPPサービスプロバイダが生まれることだろう。いずれにせよ、日本経済の成長の鍵を握るPPP/PFIは、多くの分野で注目されることになりそうだ。