インバウンドと再開発で
都心回帰が進む大阪

 とはいえ、不動産投資をする上で最も気になるのは、将来的な賃貸価格と空室リスクだ。ただでさえ若い労働人口が減っているご時世に、ワンルームマンションの需要はどこまで続くのだろうか。

 これについて毛利代表取締役は、近年の大阪経済の成長要因を挙げ、「大阪中心6区」のワンルームマンション需要について次のように述べる。

dotonbori心斎橋や道頓堀など大阪の観光名所には大勢の外国人観光客が押し寄せ、商業施設やホテルは軒並みフル稼働状態が続く。
T.M

「東京でいえば、丸の内・大手町などに相当するのが、大阪市の中心にある北区・中央区です。外国人観光客の増加によるインバウンド効果大規模な都心再開発で、このエリアの経済は活況をきわめ、雇用拡大と共に人口流入が年々拡大し続けています。実際、ワンルームマンションの需要も年々拡大しています」

 たしかに、国の観光立国政策や関西国際空港が格安航空会社(LCC)の一大発着拠点となっていることなどから、大阪を訪れる外国人観光客が激増しており、商業施設やホテルは連日フル稼働状態が続いている。

 特に、ホテルなどの宿泊施設不足は深刻だ。そこで、収容しきれない外国人旅行客の受け皿として、大阪市でも「民泊」の活用が今年10月以降に始まる見込みであり、「民泊」向けの物件需要の高まりも予測されている。

umekita-2大阪駅前に広がる約17ヘクタール(東京ドーム約4個分)の「うめきた2期区域」。ここに新たな都市機能が生まれる。
T.M

 また、「うめきた2期区域」(左の写真)などの大阪駅前を中心とする大規模な再開発プロジェクトが、今後も多く実行に移されることも大阪経済の起爆剤になっている。 

 2015年の国勢調査結果によると、「大阪中心6区」の2010年の同調査と比較した場合の人口増加率は平均11.7%。

 大阪府庁などの行政機関が集まる中央区にいたっては、18.2%と突出した伸びを示している(下の表参照)。

 景気の上昇により人口流入が拡大してもなお、1世帯当たりの人員が2人未満という結果から、いかに単身者が増えたかが予測できるだろう。

kokusei■2010年~15年の「大阪中心6区」人口増加率
2010年の国勢調査結果と5年後の調査結果を比較すると、「大阪中心6区」は、平均で11.7%の人口増加率となっている。
出典:「平成27年国勢調査」(1世帯当たり人員は、人口÷世帯数 で算出)


「大阪では、商業ビルやホテル、タワーマンションなどの建設ラッシュが続いており、特に、新たなオフィスビルが次々と建設されることによって、大手企業や外資系企業がどんどん大阪に進出してくるはず。再開発プロジェクトは長期にわたるので、人口流入は息の長いトレンドになる」と、毛利代表取締役は見ている。