「経営者が60歳以上」は約7割
高齢化する氷屋が生き残る道とは
氷屋は今、どれくらい残っているのか。
厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、平成20年度の氷雪販売業の施設数は前年比4.9%減の2384軒だ。最盛期の昭和30年代には全国で1万軒、都内だけでも約1000軒の氷屋があったという。
衰退のきっかけは、家庭用電気冷蔵庫の普及だ。追い打ちをかけるように、業務用の自動製氷機が開発された。機械に押されて行き場をなくし、高級バーや飲食店をターゲットとするが、度重なるバブルとその崩壊が、さらに市場を小さくした。
「平成19年 生活衛生関係営業経営実態調査」(厚生労働省)によると、調査対象176施設のうち、経営者が60歳以上の施設は7割近くに上る。今後の経営方針に関しては「特になし」が28.4%、「廃業」と回答した業者は21%もある。
そんななかでも、飯倉商会は比較的元気である。一時はピークの3分の1まで落ち込んだ売上も、いまは半分近くまで回復した。六本木ヒルズやミッドタウンなど、近隣の商業施設の開発が進んだことも大きい。だが、ラッキーなばかりとは言えない。
「細長いグラスに、ポンポンポンと氷が3つ、きれいに並ぶようにしてほしい」
お客さんにそう言われて、おさまりのいい氷の形を研究した。サントリーのCMを見ても、酒より小雪より先に氷に目がいくほど、ひたすら氷のことを考えた。
氷加工に専念するため、兼業していた燃料の販売は止めた。空いたスペースを利用して、冷凍庫を作った。良質の氷を、より良い状態でお客様の元へ運ぶため、冷凍車も用意した。納品の際はもちろん、保存ケースにある古い商品を上へ、新しい商品を下へと入れかえる。
「ほかの業界が当たり前にしていることを、氷の販売にも取り入れただけ」と、町田さんは説明する。
おそろいのTシャツまで製作!
“ホットな氷屋”に若者が集まる理由
電話が鳴るたびにスタッフが勢いよく駆け込んで来て、威勢よくこう言う。
「氷屋っす!」
8月上旬、東京都渋谷区にある冨士氷室は、一年で最も忙しい時期を迎えていた。



