類は友を呼ぶ。気概ある「オヤジ」ばかりで、面倒見のいい「アニキ」のいない職場は、想像するだけできつい。若くてマッチョな職場には、若くてマッチョな人々が集まる。若者の離職率は、組織の高齢化と密接な関係があるかもしれない。

 「一番うれしい瞬間は?」という質問に、植松さんと町田さんはまったく同じ答えをした。

 「おたくの氷はいいねって、お客さんからほめられた時」

 だが、植松さんの場合はこんな「オチ」も付く。

 「正直、ほかと何がどう違うのかは、よくわかんないんですけど」

「目立たないけど、人を幸せにする」
だから、氷屋は永久になくならない

 道すがら、氷屋さんのシアワセはどこにあるのかと考え続け、バーに行き着く。

 「ロックで」

 注文すると、バーテンダーさんが冷凍庫から氷の塊を取り出し、アイスピックでカチカチカチと氷を削ってくれる。

 タイミングをみはからい、聞いてみたかった質問をぶつけた。

 「もしも、氷屋さんがなくなったら、どうします?」

 グラスの中で、透明な丸い氷が「カラン」と涼しい音をたてる。それまでクールにふるまっていたバーテンダーさんが、熱く力を込めて言う。

 「それは、ひっじょうに困りますね」

 じつは、かくかくしかじかで、氷屋さんを取材したと説明する。お勘定を済ませて立ち上がろうとすると、こう念を押された。

 「氷屋さんがいないと本当に困るって、ちゃんと書いておいてくださいね」

 商店街は、年に一度のお祭り。おいしいと評判のかき氷には、すでに40人以上も行列ができていた。もしやと思い、先頭まで行って確かめた。

 貼り紙に小さく、「純氷」の文字を発見。「いい氷」は決して目立たず、控えめでありながら人を幸福な気持ちにさせるものなのだ。

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