森口泰孝副学長
東京理科大学に「研究推進機構」が誕生したのは2015年4月。研究活動の支援や産学連携活動の推進のため、専門の部署をつくり人材を配置、研究戦略を本格的にスタートさせている。目標は“日本の理科大”から“世界の理科大”への発展。研究力で国際的に評価される大学を目指し、今、東京理科大学は大きく動き始めている。
圧縮空気を利用した人工筋肉を活用し、人間の筋力を補助するウエアラブルロボット(マッスルスーツ)の開発・販売を行う「イノフィス」は、東京理科大学の学内発ベンチャー企業である。工学部機械工学科の小林宏教授の研究と、試作・製造を担当する上場企業の菊池製作所との産学連携で誕生した企業で、人に役立つ人間中心のロボットを製造するユニークな企業として、世界的にも注目されている。
今、東京理科大学では、こうした産学連携のプロジェクトが活性化している。それを支えているのが、2015年4月に発足した「研究推進機構」である。
研究者を全面的に
サポートするURA
「研究推進機構」は、研究活動の支援や産学連携活動の推進を通じて、教育研究の活性化と社会貢献の促進を図ることを目的に設置されたもので、「研究戦略・産学連携センター」「総合研究院」「生命医科学研究所」「研究機器センター」で構成される。特徴的なのは、研究者とともに研究活動の企画やマネジメント、研究成果活用の促進を行う人材、URA(University Research Administrator)を配置したことだ。
「これまでも東京理科大学は数多くの産学連携を行ってきましたが、大学の教員が個別に行っていたため、負担が大きかった。URAは専門分野に強い研究者レベルの人材がそろい、外部資金の獲得から、シーズ発掘や企業とのマッチング、地域連携や企業化支援まで、研究者を全面的にサポートします。研究者はより研究に集中できるため、研究活動の活性化につながっています」
そう説明するのは、研究推進機構長である東京理科大学・森口泰孝副学長だ。
そもそも「研究推進機構」は、研究戦略中期計画(15〜20年度)の中で発足した。中期計画では「理科大ならでは」の研究を世界レベルで展開、“日本の理科大”から“世界の理科大”へ発展することを目指している。そのための基本目標は、研究力で国際的に評価される大学としての地位を確立すること、グローバルな産学連携体制、地域の産学公金連携体制を構築することにある。