学部の枠を超えた「総合研究院」が
研究のコア

 その研究力の強化の軸となっているのが、「総合研究院」のさらなる充実、学部を超えた連携だ。総合研究院は、6研究センター、24研究部門、2共同利用・共同研究拠点で組織され、学部・学科の分野を超えた“連携研究の芽”を育てている。

 「総合研究院には、学内の教員、研究者の約半数の300人が参画しています。教育はそれぞれの学部・研究科が推進しますが、研究では分野を超えた活動が必要とされます。教育を縦軸とすれば、研究は横軸。これほど大きな横断的研究組織を持つ私立大学はまれで、国際的な連携も重視するなど、国内外の研究拠点として活発な活動を行っています」と森口副学長は胸を張る。

 実際に総合研究院には、藤嶋昭学長の「光触媒国際研究センター」や、辻本誠教授の「火災科学研究センター」など、国際的なプレゼンスを持つ研究拠点も多く、研究戦略・産学連携センターと連携しながら、社会の要請に応えていく体制を整えている。

 中期計画では、従来から強い分野である「環境・エネルギー」「ものづくり・計測技術」に加えて、「医療・生命科学」「農水・食品」を重点課題として設定、潤沢な予算を投入しながら“理科大ならでは”の独創性の高い研究を推進していく考えだ。

 創立以来、「真に実力を身に付けた学生のみを卒業させる」という実力主義の伝統を持つ東京理科大学。今年度からは、大学院博士課程学生の学費の無償化をスタート、優れた研究者の確保・育成にも取り組んでいる。

 民間企業との共同研究に伴う研究費受入額では私学で3位のポジションにあり、大学が保有する知的財産の展開力は伝統的に強い。今回の研究推進・支援体制の強化で、その実力を発揮する舞台はさらに広がる。