海外出張の〝集中管理〟

 日本企業と欧米企業では出張管理手法が違うのでしょうか。

アジアパシフィック統括
デビッド・リーマー

リーマー 日本企業は、欧米企業とは気質的、文化的な違いがあり、グローバルなプログラムをつくり統合的に運用することに消極的でした。その背景には、日本企業の出張管理が企業グループ内で行われ、日本発の出張を対象に、個々の費用の削減のみを主要命題にしていたこともあるでしょう。しかしグローバル時代のBTMでは、航空運賃や宿泊料金だけに囚われず、危機管理も含めたトータルなコストのあり方にこそ留意すべきです。

シェレク欧米企業では、本社にグローバル出張規程を含むトラベルプログラムを統括する部署がありますが、日本のグローバル企業では、このような総括機能を持つ部署がない、全データがまとめられていない、というのが現状のようです。

 各国の出張費が何にいくら使われているか、統合的な部署がグローバル規模の全体像を〝集中管理〟しながらコーディネーションすることが、グローバルなトラベルプログラムの策定への一歩です。そしてその収集データを〝武器〟に、航空会社との契約交渉に活用するなどして、プログラムの最適化につなげるのです。

 ただし〝集中管理〟といっても同じ規程を海外拠点に一律に課す必要はありません。各拠点が異なるプログラムを採用していても、整合性をもって集中管理することが重要で、それには当社のシステムが非常にお役に立ちます。

人材の確保にも影響を及ぼす
出張プログラム

 御社の優位性は何でしょうか。

シェレク 当社は投資家からの潤沢な資金を背景に毎年7000万ドルもの技術投資を行っています。この規模は競合他社と比べても圧倒的に大きく、新しいシステムやアプリケーションによる利便性の向上といった期待に十分応えています。

 また、AMEXグループである強みを活かして、「EXPERT CARE」に同カードの使用情報を取り入れることができます。飛行機やホテルの手配内容に、タクシーやレストランでのカード利用履歴も加味し、複合的に事件発生現場の近くにいると思われる出張者を即座に割り出せるのです。

リーマー もちろん個人情報保護や秘匿義務のある法律などを各国ごとに遵守することが前提となりますが、企業の求めに応じて、出張者同士で役に立つ情報を共有できるようなシステム構築も目指しています。

 レジャー向けのトラベルツールのほうが技術的に進んでいるような印象があります。

リーマー 若い方々はレジャーでモバイルやインターネットを駆使しています。私たちは会社のニーズに応えつつ、こうした経験を持つ出張者に利便性を提供しなければならない、と考えています。

シェレク欧米の若者たちは就職に際して、サラリー額や労働条件に加えて「どのような海外出張をさせてくれるのか」「その規程はどのようなものか」といった条件を重視し始めています。欧米企業にとって、〝トラベルエクスペリエンス〟は有能な人材確保のための有効なツールとなっています。こうした変化を、日本の企業の皆さんにもぜひ知っていただきたいですね。