このところ新築マンション価格の高騰が続いている。「買いたいエリアに、買える価格の新築が 出ない」と嘆く人も多い。その一方で中古住宅として売り出される物件は着々と増え続けている。 豊富な物件の中から希望に合う条件の中古住宅を探し出し、安く買って、改修して住んだ方が いい。そう考えるあなたのために、着実に成功に至るための「中古住宅購入術」を伝授しよう。

いい物件ほど
足が速いという現実

 「中古マンションを買うことは、新築と違って決断の連続です。こんなにも慌ただしい仕事だとは、思ってもみませんでした」

 そう語るのは東京都大田区のJR大森駅近くに築21年の3LDKを買った吉田秀一さん(仮名)。

 発端は約1年前に見た、新聞の折り込みチラシ。以前から妻と「あのマンションなら住んでみたい」と話し合っていた物件だった。すぐに見に行ったが、人気のため同日に申し込んだ人が3人。売却を急いでいた売り主は、一番早く現金を用意できる人にと希望し、吉田さんはチャンスを逃した。

 いい物件ほど「足が速い」と知り、そこからは同じ駅周辺で中古物件を幾つも下見して目を肥やした。住宅ローンの事前審査も試み、自分の与信枠がどの程度あるか、手応えもつかんでおいた。

 「私は以前、新築マンションを買ったこともあるのですが、新築だと業者が全てお膳立てしてくれます。中古は自分で段取りすることが必要。大変だけれど、本気で取り組めばその分、家を手に入れた満足感も大きいと思います」

 確かに中古住宅には、幾つものメリットがある。新築に比べ価格が安いし、現物をじっくりチェックできる。さまざまな条件の物件が売り出されるのでより取り見取り。今では新築が建たない好立地に、思わぬ出物があったりする。

 そんな中古住宅取得を成功させる秘訣は、いつでも行動を起こせるように準備万端、整えて取り組むことなのだ。