GIS(地理情報システム)や航空測量など空間情報を活用した社会システムを提供するパスコ。その物流業務支援ソリューション「LogiSTAR®」に注目が集まっている。中でも配車業務支援は、ラストワンマイルに飛躍的な効率化をもたらしている。
今や車には欠かせないカーナビ。実はそこでパスコのルート選定技術が活躍している。パスコがGISの導入を開始したのは1974年のこと。以後、地図だけでなく道路網、渋滞などさまざまな空間情報を活用する技術を確立してきた。
カーナビのルート選定技術を配送計画の策定に活用できないか。そんな着想に至るのも当然で、15年ほど前から物流支援ソリューション「LogiSTAR®」の構築が始まっていた。
井手修平・パスコ第二営業部営業二課課長は、「空間データとルート選定のアルゴリズム、それらから導き出される配送計画は、空間情報会社ならではの精細なものであり、他社の追随を許さないと自負しています」と語る。
「配送条件」を考慮した
精細な配送計画
物流支援ソリューション・LogiSTAR®は、配車業務支援、拠点配置シミュレーション、運行管理などのメニューをそろえる。中でも配車業務支援は、配車業務における人的リソース削減だけでなく、共同配送の推進とコストの削減などに大きく貢献している。
従来、配送業務は、配送条件を熟知した「配車マン」と呼ばれるベテランの手に委ねられていた。そのため、後進の育成が追い付かないほど、配車マンに負荷がかかっていた。それだけに、細かな配送条件を熟知している配車マンの業務をシステムで効率化するには大きなハードルがあった。そこでパスコは自社が持つ空間情報のノウハウで、細かな配送条件を加味したシステムを構築した。
佐藤哲雄・システム事業部副事業部長は、「パスコは地図の見方、使い方、解析の仕方が他社とは違います。軒先情報も含めた地図情報と解析する技術の両方を自前で持ち、VICS(Vehicle Information and Com- munication System)情報を基にした渋滞の変動予測技術なども組み込み、配車マンの力量に迫るものになっています」と語る。
その結果LogiSTAR®は、より緻密な配慮が必要とされる配車業務で大きな威力を発揮する。ラストワンマイル、住所が不明の建築現場、複数店舗への共同配送などだ。「複数の届け先があり、それぞれ配送先ごとに多岐にわたる配送条件があり、投入できるトラックの台数や車種が限定されるような物流こそ、LogiSTAR®が最も得意とするものです」(井手課長)。
導入ユーザーは、配送日当日の時間指定に沿った配車計画ではなく、時間指定変更や配送日変更による複数日での配送効率の向上や、配送委託会社に対していち早く車両を手配できるように、物流量予測に基づく配送コース計画を作成するなど、日ごとの最適化だけではなく、週・月・年単位での最適化に取り組んでいる。配車管理システムに求められるニーズが変化してきているようだ。さらに、荷主や事業部ごとに行っている車両手配などの配車業務を統合配車へと切り替えていくユーザーが増えているようだ。