モバイルマーケティングサービスを中心に、飲食店や美容院などの店舗とユーザーをつなぐITサービスを提供するエス・ケイ通信。市場規模が拡大するO2O市場でのプレゼンスが高く、「大家族主義」の企業理念の下、独自の営業戦略で増収増益を継続中だ。

 エス・ケイ通信は、廣瀨勝司社長の個人事業から始まった。設立から17年、複合機や携帯電話の販売事業を経てモバイルマーケティングサービスへと主軸事業をシフト、現在まで16年連続で増収増益を果たしている。具体的には、飲食店や美容院などのサービス業を中心に、集客プロモーションのITサービスをワンストップで提供、いわゆる「O2O」(オンライン・ツー・オフライン=ホームページやメールなどから実店舗に誘導する販促活動)市場で圧倒的な強みを持っている。

エス・ケイ通信
廣瀨勝司代表取締役

廣瀨社長は、同社の成長の理由を「営業戦略のシンプルな構築」にあると語る。

「当社は、営業戦略の部分で“誰にでも売れる仕組みづくり”にこだわってきました。優秀な営業マンの手法は、簡単そうに見えて複雑なものです。そうした複雑な属人的なスキルに頼っていては限界がある。そこで営業やテレアポのトークを徹底してシンプルにマニュアル化、効果的なリスト戦略を築いて営業を効率化したのです」

 特に営業リストについては専門の“リスト戦略室”をつくり、新店舗の情報をいち早くキャッチして営業担当や代理店に落とし込み、他社に先駆けて効果的にアプローチできる体制をつくり上げた。むやみなテレアポを試みて断り続けられると誰でも心が折れる。その無駄を省き、組織的に営業をバックアップすることで営業効率を向上させたのだ。

 同社では「1日2行動」が目標。1ヵ月で約40人の経営者と会うことで、社員の能力はおのずと鍛えられる。そのため、10件のアプローチで1・5件契約できれば成功といわれる業界の中で、同社は3〜3・5件の成約率を誇っている。

 もちろん、成長の要因には商材やサービス自体の魅力もある。O2O事業における同社の武器は、なんといってもマーケティングツールだ。既存のホームページをより有効活用し、高額な宣伝費や余計な人件費、手間をかけることなく確実に集客につなげていくことを可能にする同社独自のCMSである。