試験直前に学習時間を集中させる
小原正徳さんによると、宅建試験の合格に必要な勉強時間は、200〜300時間、あるいは300〜500時間と諸説あります。一方、小原さんは平成20年の宅建試験を受験し、1日10時間の勉強を5日間続け、合計50時間で合格しました。
ただし、小原さん自身も、5日間での合格には再現性がなく、そのまままねすることは勧めていません。参考にしたいのは5日という期間ではなく、試験日から逆算して勉強時間を集中させる考え方です。
学習期間が長いと、以前に覚えた内容を忘れ、復習に時間がかかることがあります。そこで小原さんは、長期間にわたって少しずつ勉強するよりも、試験に近い時期にまとめて取り組むほうが、勉強時間を有効に使えると考えました。
5日間という期間をまねするのではなく、試験直前まで過去問を繰り返し、覚えた知識を保ったまま本番を迎えることが、小原さんが勧める勉強法です。
薄い入門書で宅建試験の全体像をつかむ
最初から分厚い基本書を1ページずつ読む方法は、読み終えるまでに時間がかかり、途中で挫折する可能性もあります。また、講義を聞いたり参考書を読んだりするだけでは、内容を理解する段階にとどまり、知識を覚えて問題を解くことができない場合があります。
小原さんは、知識を砂や水にたとえ、それを受け止める「箱」を先に用意するイメージで説明しています。ここでの目的は細かな知識を暗記することではなく、これから覚える内容を整理するための枠組みを頭の中につくることです。
意味を理解していない内容は覚えにくいため、知識を入れる前の準備は必要です。まずは数時間で読み切れそうな薄い入門書を使い、宅建試験で何を学ぶのかを大まかに把握します。
なお、入門書を選ぶ際は情報量だけでなく、文字が詰まりすぎていないか、行間があり読み進めやすいかも確認します。内容の詳しさよりも、短時間で最後まで読み切れることを優先して選びます。
分野別過去問と対応する基本書を組み合わせる
試験の全体像をつかんだ後は、過去問へ進みます。宅建試験では過去問で問われた知識が繰り返し出題されるため、過去問を学習の中心に据える方法です。
問題集は、年度別ではなく分野別に整理されたものを選びます。小原さんは住宅新報出版の分野別過去問題集を挙げ、問題と解答・解説を見開きで確認できる構成を勧めています。左側に問題、右側に解答と選択肢ごとの解説がある問題集なら、それぞれを行き来しながら確認できます。
あわせて、問題集と同じ出版社の基本書を用意します。ただし、基本書を最初から通読するのではありません。解説だけでは前後の文脈や制度の仕組みを理解できないときに、必要な箇所を調べる「辞書」として使います。
分野別過去問題集を中心に学び、理解できない箇所だけを対応する基本書で補うのです。
1周目は問題を解かずに正誤の根拠を探す
過去問題集の1周目では、いきなり正解を出そうとする必要はありません。問題文を読んだら、そのまま解答と解説を確認し、どの部分に注目すれば正誤を判断できるのかを理解します。
宅建試験は全50問で、1問につき4つの選択肢があります。そのため、4つから正解を一つ選ぶだけではなく、合計200個の選択肢をそれぞれ正しいか、誤っているか判定する形で学習します。
1周目は選択肢ごとに解説を読み、正誤を判断するための言葉や条件に印を付けていきます。最初は問題文と解説をすべて読むため時間がかかりますが、ここで2周目以降に確認する箇所を絞り込みます。
過去問を単に解くのではなく、選択肢のどこを見れば正誤を判定できるのかをつかむことが1周目の目的です。
正解できる選択肢を除外しながら過去問を周回する
2周目では、1周目で印を付けた箇所を中心に読みます。問題文を毎回すべて読んでいると時間がかかるため、正誤の判断に必要な部分へ目を通します。
内容を理解したうえで正しく判定できた選択肢は、それ以降の学習対象から外します。特別な知識がなくても、文章を読めば判断できる選択肢も早い段階で外して構いません。
一方、判定を間違えた選択肢や、正解しても偶然だった可能性がある選択肢は、3周目以降も確認します。内容を理解して正しく判定できたらチェックを付け、3回連続で正解した選択肢を次回から外します。
周回するたびに確認する選択肢が減るため、後半になるほど短時間で問題集を回せるようになります。小原さんは5日間の勉強で4周ほどしましたが、2カ月ほどかけて取り組む場合は、8周程度が目安です。
理解した選択肢を何度も読むのではなく、まだ覚えられていない選択肢へ勉強時間を集中させことで効率が上がります。
週単位で勉強時間と進める範囲を決める
学習計画は、試験までに確保したい総勉強時間を、残りの週数で割って考えます。たとえば、試験まで60日、約9週間で200時間勉強する場合は、1週間に約22時間を確保する計算です。
週休2日であれば、最初に休日の勉強時間を決めます。土日に5時間ずつ勉強して合計10時間を確保する場合、残りの12時間を平日5日間へ割り振ると、平日は1日約2時間半となります。
1日あたりの勉強時間を決めた後は、勉強する時間帯と場所まで具体的に設定します。朝と夜に分ける、図書館で取り組む、通勤時間を使うなど、時間と場所を固定すると習慣にしやすくなります。
さらに、何月何日の何時から何時までに、問題集の何ページから何ページまで進めるのかを決めます。予定より時間がかかった場合は、それまでの進み方から今後のペースを考え、計画を組み直します。
最初から長期間の細かな予定を固定するのではなく、1週間ごとに計画を立て、実際の進み方に合わせて修正を繰り返します。
周回にかかる時間を測って読む速度を調整する
分野別過去問題集が300問ある場合、本試験50問の6回分に相当します。本試験の試験時間を2時間とすると、6回分は12時間です。小原さんは、この12時間を、問題集を1周する時間の目安の一つとしています。
1周目は解答や解説を読み、内容を理解しながら印を付けるため、20時間ほどかかっても仕方がないとしています。2周目は正誤の判断に必要な部分へ絞り、15時間程度で終えることが目安です。
2周目にかかった時間を測れば、自分の読み方が速いのか遅いのかを判断できます。周回を重ねても時間が減らない場合は、問題文や解説を毎回すべて読み直している可能性が高く、理解している内容は飛ばして構いません。
1時間で何問、あるいは何ページ進められるかを把握し、そのペースをもとに次の1週間の予定を組み立てます。
3種類の教材を受験年度に合わせて用意する
小原さんが宅建の勉強に使う教材として挙げているのは、「薄い参考書」「分野別過去問題集」「問題集に対応した基本書」の3種類です。薄い参考書で試験範囲の全体像をつかみ、分野別過去問題集を繰り返し、解説だけでは理解できない箇所を基本書で調べます。
3種類の教材を最初からすべて読み込むのではなく、それぞれの役割に合わせて使い分けます。最初に薄い参考書を読み終えた後は、分野別過去問題集を中心に学び、必要なときだけ基本書を参照します。
参考書や問題集は、受験する年度に対応したものを選びます。法律や税制などが変更される可能性があるため、価格が安くても過年度版の教材を使うことは避けるよう説明しています。
民法改正以前の過去問については、最新年度版の問題集であれば、改正の影響がある部分は削除または修正されています。また、特定の分野だけを重点的に学び、ほかの分野を捨てる方法は勧めていません。
受験年度に対応した教材を使い、出題範囲をまんべんなく周回することが基本です。
理解できていない選択肢に学習時間を集中させる
小原さんの勉強法は、薄い入門書で全体像をつかみ、分野別過去問題集を選択肢ごとに繰り返す流れです。基本書は最初から読むのではなく、過去問の解説だけでは理解できないときに参照します。
周回では、正しく判定できる選択肢を順番に外し、間違えたものや理解が曖昧なものを残します。試験日から逆算して時間と範囲を決め、覚えられていない内容へ勉強時間を集めることが、この方法の中心です。
(次ページに解説動画あり)
