10~15分の面接で自分を出し切るには?
――「面接の形骸化」とは、具体的にどのような状態を言いますか。
渡辺健太(わたなべ・けんた)
ベネッセコーポレーション教育情報センター センター長
1979年奈良県生まれ。2002年ベネッセコーポレーション入社。小論文講演、キャリア講演、教員向け小論文・志望理由書研修会の実績も多数。元中国広州倍楽生(広州ベネッセ)副社長、北海道支社長などを経て2026年4月から現職。●ベネッセコーポレーションの教育情報&オピニオンサイト『VIEW next ONLINE』
渡辺:この点は判断が難しいのですが、「面接の結果が特に合否に影響を与えなかった」と捉えると理由は2点あると思います。(1)実質倍率が1.0倍未満でほぼ全員合格を出しているケース。つまり結果として「全入」が認められた場合や、(2)面接以外の重点が大きく、面接が満点であっても他の入試科目・項目が原因で不合格となるケースはあると考えられます。
田嶋:全員合格のケースはもちろんですが、例えば「学力テスト200点満点、面接20点満点」というような極端な傾斜配点、「雑談」としか思えない質疑をする……などが考えられます。ただし、医学部や看護学部の入試では、学力試験の得点がどんなに高くても、面接で不合格になることがあります。いずれにしても、面接の評価基準はブラックボックス的な性格が強いのです。
――入試の面接時間は10~15分程度の大学が最も多いといわれていますが、受験生の実力や意欲を見極める時間としてはいかがでしょうか。
田嶋:一般に大学入試の面接時間は15分程度とされています。今後、出願数が急増するであろう年内入試では、長くて15分、短ければ10分前後というケースは十分にあり得ます。
渡辺:面接時間の長さ自体は本質的な問題ではないと考えます。企業の面接でも10分という時間は決して短くありません。受験生が事前に提出する志望理由書などをしっかりと準備し、面接官がそれをきちんと読み込んでいれば、10分でもその人の人となりや意欲を十分に把握できます。
――やはり事前の準備が重要なのですね。それに加え、受験生は面接でどうやって自己アピールすればよいでしょうか。
渡辺:押さえておきたい大切なポイントとしては、志望理由書は面接官の手元にある状態で面接が実施されるということです。そのため、志望理由書には部活動や地域活動、海外留学経験など自分が聞いてほしいポイントが多々ある中で、盛りだくさんになり過ぎてそれぞれの中身が薄くなるよりも、項目をいくつかに絞って質問してほしい内容に面接官がフォーカスしやすくすることが重要です。
面接官が「ここはどういうこと?」と興味を持って質問してくれたら、その問いかけに自分の言葉で答えているうちに10分という時間はあっという間に過ぎ、非常に中身の濃い面接になるのです。
――最近は、小論文や志望理由書など事前提出書類の作成に生成AIを利用する受験生も増えています。
渡辺:受験生が提出書類を作成する際にAIを活用するのは、もはや常識となっていますから、大学側が全面的に禁止するのは困難だと思います。
大学の中には、受験生が作成した書類がAIによって誇張された内容でないかをAIを使って確認している所もあります。また、提出書類をAIに読み込ませて面接用の質問リストを生成したり、面接後のやり取りの文字起こしに活用したりといった取り組みが一部で始まっています。
