年内入試は「本命校挑戦」の手段

――年内入試と一般選抜のバランスはどのように変わっていくでしょうか。

田嶋:2025年度以降は、収容定員8000人以上の大学で在籍者数が1.1倍以上になった場合、国からの補助金がカットされるようになりました。ですので、大規模大学では合格者数を絞る傾向が続いています。

 年内入試や指定校推薦で多くの合格者を出した大学は、年明けの一般選抜入学者定員を減らさざるを得ないのです。

渡辺:26年度入試で、先輩たちが一般選抜で厳しい結果に直面する姿を間近で見てきた現高校3年生たちは、強い不安を感じています。

 滑り止めとしてではなく「本命校に挑戦する手段」として年内入試を活用するようになるでしょう。併願を認める年内入試が増えていることも、この流れを後押ししています。

田嶋:他に目立った動きとしては、首都圏の中堅上位校や難関校、一部の女子大学などでも、国公立大学志望の優秀な学生の併願先となるよう、一般選抜で「多科目型」の入試を導入する大学が増えています。

――学力試験を課す年内入試に「面接」が加わった場合、一般選抜には具体的にどのような影響が及ぶと考えられるでしょうか。

田嶋:対面で話すことが苦手で「面接だけは絶対にイヤ」という受験生もいます。あるいは、身体的な事情で面接が困難な受験生もおり、「実施要項」でも受験生の特性への配慮を求めています。こうした受験生への対応がなければ、選択肢は一般選抜に絞られてしまいます。

 また、年内入試を受ける生徒にはすべて面接指導が必要になるので、高校教員の業務負担はさらに増えるでしょう。

渡辺:それに加えて、大規模大学では学力試験を課す年内入試の募集人員(枠)を減らすことで、一般選抜に募集人員を戻す(増やす)ケースは考えられます。

 ただし、26年度入試の結果をふまえると、定員充足率による補助金の制限の関係で合格者数をむやみに増やすことはできないため、一般選抜枠が多少増えてもすぐに27年度入試の一般選抜が易化することはないと思います。

――激変する入試制度に受験生や大学はどのように対処すればよいでしょうか。

渡辺:まずは、自分に合った入試方式を入念に調べてください。高校3年間で培った自分の努力や活動が最も発揮できる方法を賢く選ぶことが重要です。

 探究学習が得意であれば、面接やディベートを課す年内入試に積極的に挑戦すべきです。人前で話すことがどうしても苦手という人は、無理をせず一般選抜を重視した学習計画を立てましょう。

 大切なことは、周囲に流されることなく、自分の努力や個性が最も発揮できる方式を賢く見極めることです。

田嶋:入試制度はこれまでも時代に合わせて変化を繰り返してきましたが、ここ数年の変化は特に目まぐるしい。受験生や保護者が混乱しないよう、大学側には早めの情報発信が強く求められます。