文理を分けない
「文理融合」の学び
かねてより同校の教育は、いわゆる受験中心の進学校とは異なる独自の歩みを続けてきた。象徴的なのが、文系と理系を分けない「文理融合」型の教育だ。多くの学校が進路選択を見据えて文理を明確に分ける中、同校では最後まで学びを横断的に組み立てる。文系でも理系的思考を学び、理系でも社会や人間を理解する視点を養う。
「理科教育も本校の特色の一つです。中学3年間で行われる実験は130回近くに及び、仮説を立てて検証し、結果を批判的に考えるという科学的思考を徹底的に鍛えます。中高一体化だからといって速度を速めて先へ進むのではなく、批判的思考力をじっくり育てることに本校の特徴がある。それは今後も堅持していくつもりです」(中田高校校長)
表現力を養う読解教育にも、同様の理念が貫かれている。国語の授業では、毎学期1冊の本を読み切り、その内容について議論し文章を書く。教科書の短い作品を次々と読む授業とは異なり、1冊の作品と深く向き合うことで理解と表現を結び付けていく。この授業は、NHK Eテレの読解力シンポジウムの番組で紹介されるなど注目を集めている。
野中友規子中学校校長・中高一貫プログラム準備室副室長はこう説明する。
野中友規子中学校校長・
中高一貫プログラム準備室副室長
「本来、読書という行為は自由です。でも今の生徒たちはどうしても正解を探そうとしてしまう。そこで教員がさまざまな価値観を提示し、生徒同士がグループ討論を行うことで、多様な読み方があることを学びます。本校は別学なので、同じ性の集団の中で安心して討論でき、共感も得やすい。遠慮なく自由に議論することで、内容を深く掘り下げることができるのです」
一方で、非認知能力を育てる環境も整っている。その代表的なものが、生徒による「自治活動」だ。創立以来続く伝統で、生徒全員が学校生活の運営に関わる何らかの役割を担う。学校のルールや行事の在り方について、生徒たちが議論を重ねながら決めていく。
「卒業生が各界で活躍している姿を見ると、本校で試行錯誤しながら自分たちの力でやり遂げた経験が、社会に出て本当に役立っているのだと思います。また、哲学対話や社会課題を討議する場もあり、教科の『倫理』は必修で学びます。哲学的、思想的な視点を踏まえて議論することで、自分なりの心のよりどころを持つようになる。日本女子大学の教員からも、附属校出身の学生は“強い芯”を持っていると評価していただいています」(中田高校校長)
キャンパスの環境にも恵まれている。広い森に囲まれた敷地には天文観測設備もあり、自然の中で学ぶ機会が多い。美術では1本の木と1学期間向き合って版画を制作する「わたしの木」という授業があり、音楽では声楽とバイオリンを学ぶ。自然や芸術を通して身体感覚や感受性を育てる教育は、同校の大きな特徴の一つである。
