神原 洋校長
「知・技・心」のバランスが取れた全人教育を掲げる秀明中学校・高等学校。教員をはじめ寮監、食堂スタッフらが生徒を気遣い、声を掛ける温かな環境がある。この〝良い意味でお節介(せっかい)な環境〟の中で、生徒たちは自然と他者を思いやり、社会に出ても困っている人に自ら声を掛けられる力を身に付けていくという。神原洋校長は「分断が進む現代社会において、他者に自ら働き掛けられる人材を育む。秀明の存在意義はここにあります」と語る。
その豊かな人間性を育む基盤が寮生活だ。中学の3年間は2人部屋で過ごす。意見が異なるときも、双方が納得する着地点を探る経験を日常的に積んでいく。「寮生活での同室者との協働は、日常の問題を解決するリアルな探究活動です」と神原校長。
また、英語教育の充実も同校の大きな強みである。2025年に完成した新校舎に設けられた「イングリッシュサロン」では、毎日放課後に英国人教員が日替わりイベントを開催している。神原校長は「いつでも自由に参加できるアクティビティーを通じて、自然に無理なく英語が身に付きます。本校に通えば外部の英会話スクールは必要ありません」と自信を見せる。さらに、中2と高1で実施する英国研修も生徒を大きく成長させる。中2で「伝わらない」もどかしさを味わうことがモチベーションとなり、高1の2度目の研修でその悔しさを晴らすという。こうした実践的な学びを経て、25年度には高2修了時で英検2級に55%、準1級に15%が合格するという目覚ましい成果を上げている。
最新の校舎と新たな食堂
「同じ釜の飯」で育つ心
25年春に供用が始まった新校舎では、全教室にプロジェクターが設置され、ICTを活用した分かりやすい授業が定着した。一方で、夜間学習における読書や、文章で考えを深める「心の学習」など、活字を読み・書くアナログな教育とのバランスを大切にしているのも特徴だ。
さらに、26年5月には新食堂が完成した。全学年が一堂に会し、「同じ釜の飯を食う」ことで生徒同士の友情を深める場となる。全寮制において「食」は重要であり、同校は創立以来、食材からこだわり抜いてきた。「食育、そして家庭科の一環で、生徒考案のメニューが定期的に出されます。自身で栄養価を考えることは、普段の食事をバランスよく取るという意識の醸成につながっています」と神原校長は話す。健全な食生活が、生徒の心身の成長を支えている。
こうした規則正しい生活と手厚い指導は、確かな進学実績にも結び付いている。職員室には質問カウンターが設けられ、教員に直接指導を仰ぐことができる。その結果、塾や予備校に通うことなく、医学部や難関国公立大学へ多数の現役合格者を輩出している。
「ムリ・ムダ・ムラ」のない生活の中で培われた「知・技・心」の総合力は、予測困難な社会を生き抜く確かな武器となるに違いない。
