平野 豊校長
高輪ゲートウェイ駅の開業で風景が大きく変わる中、高輪中学高等学校の生徒たちも、新たな街づくりの一翼を担っている。2026年3月には、「TAKANAWA GATEWAY CITY」の開業イベントとして、同校の折紙同好会が駅構内でワークショップを開催した。25年には旅行・鉄道研究部も隣接のビルで模型展示を行っており「地域の学校として、生徒たちが学校外の方々と関わる機会が非常に増えています」と平野豊校長は語る。
こうした外部との関わりにおいて、同校が徹底しているのが、生徒の主体性に委ねることだ。その活動を象徴するのが「学校PR委員会」である。学校説明会が開催できなかったコロナ禍の時期に、生徒たち自らで企画したオンライン説明会が立ち上げの発端となった。現在も春休みに行われる学校説明会は生徒主導で行われている。
「彼らが自分たちの言葉で語る『先生との距離が近い』『アットホームな学校』といったリアルな学校生活の姿は、私たちの説明以上に受験生や保護者の心に響いています」(平野校長)
外部の視点に立ち、客観的に物事を伝える経験は、生徒たちに大きな自信をもたらしている。
あえて口を出し過ぎず
生徒同士の学びを見守る
生徒たちの挑戦を根底で支えているのが、同校が目標として掲げる「人を育てる指導」だ。時間を守る、あいさつをするといった基本的な生活習慣の確立を重んじている。「学校は『人』で成り立つ」との考えから、専任教員比率を約80%と高く保っている。1学年6クラスに担任と所属教員を含め11人の学年スタッフを配置し、多くの目で生徒を見守っている。「男子校ならではの自分をさらけ出せる環境で、時には人間関係の摩擦も経験しながら、生徒たちは他者への配慮や接し方を学び、精神的に成長していきます」(平野校長)。
また、学校生活の中で人間的成長を強く促すのが、高輪の伝統ともいえる先輩・後輩の強い「縦のつながり」だ。例えば「高学祭」(文化祭)の執行部では、中1は縁の下の力持ちの役割から始まり、学年が上がるにつれて全体を動かす立場へと成長していく。行事の運営やPR委員会の発表練習で壁にぶつかったときには、必ず高校生の先輩たちが「兄貴」としてアドバイスに駆け付けるという。教員は安全面をしっかりと担保しながらも、あえて口を出し過ぎず、生徒同士の関わり合いを通じた学びを見守ることに徹している。こうして育まれた主体性は、学力面にも良い影響を及ぼしており、26年3月卒の進学実績でも、東大・京大などの国公立大で優れた結果を出した。中学生も実績を見て「先輩のように」と目標にする、中高一貫校ならではの良いサイクルが生まれている。
「失敗してもいいから、目の前のことに真摯に取り組んでほしい」と平野校長。歴史ある高輪の地で、手厚い教員体制と温かな先輩たちの見守りの下、生徒たちは自ら考え行動する「自主堅正」の精神を体現し、たくましい人間へと成長し続けている。
