続いて第B問です。
英語の授業で社会問題について自分の考えを書いて、それを先生のコメントをベースに修正していく内容になっています。読者にわかりやすいように論理構成や展開を修正していきます。ファッションと環境というテーマも今どきの内容になっています。
このようにリーディングの第A問、第B問とも4技能の中の「ライティング」を意識した問題となっていました。こちらが始めに説明した「➀文字と音声の特性を生かして、「聞く」「読む」「話す」「書く」を統合した総合的な英語力を測る」という内容の問題です。リーディングの問題でライティングの英語力を測っています。
この新傾向は読解できれば対応できるので、大きな問題にはならないと思われます。しかし、特に気になった点は第A問の語彙数が約1300語であったことです。下表のように最近での1題の最大語数は昨年の約1150語でしたが、今回の試作問題はそれを超えています。
試作問題では総語数の比較はできませんが、近年の総語数は年々上昇しており、2年連続6000語を超えています。80分の試験で総語数6000語、マークや見直しで5分かかると仮定すると、150wpm*で解いた場合、読む時間が40分、考える時間35分に、120wpmだと読む時間は50分、考える時間25分になります。このように総語数が年々増えて、速く英文を読み取る必要性が高くなっているため、普段から英文を最低でも1分間で120語、目標は150語読むことを意識して、練習していくと良いでしょう。
*wpm:words per minute (1分間に読める語数)
実施年 |
1題あたりの 過去最大語数 |
総問題数 | 総語数 |
---|---|---|---|
2023年 |
約1150語 (第6問B) |
49問 | 約6100語 |
2022年 |
約1050語 (第6問B) |
48問 | 約6050語 |
2021年 |
約950語 (第5問) |
47問 | 約5500語 |
2020年 |
約850語 (第6問) |
54問 | 約4400語 |
※2020年はセンター試験 発音アクセント文法問題あり
リスニングの試作問題(第C問)
最後に第C問についてです。こちらはリスニングの内容になっています。まず、リスニングの問題作成方針について少しお伝えします。
十分な読み上げ時間を確保し、重要な情報は形を変えて複数回言及するなど、自然なコミュニケーションに近い英語の問題を含めて検討する。全ての問題を1回読みにする可能性についても今後検証しつつ、当面は1回読みと2回読みの両方の問題を含む構成で実施することとする。
参考:大学入試センター 令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの出題教科・科目の問題作成方針に関する検討の方向性について
とあるように、1回読みと2回読みの両方が数年間は出ると思われます。令和5年度の共通テストも第1、2問では音声が2回流れ、第3問から第6問までは1回流れる混合の問題となっています。なお、今回の第C問は1回読みの内容でした。
試作問題の第C問は、アメリカの大学で幸福感についての講義を聞いて、学生同士で講義の内容についてディスカッションしている内容になっています。グループ内のディスカッションで、どちらの話が講義の内容に一致しているかを問う問題があるなど、「話すこと[やり取り]・[発表]」にも繋がるような問題となっていました。また、図表、ディスカッション内容、講義内容からどのようなことが言えるかを選ぶ問題もあり、得た情報や自らの考えを表現・発信するために、情報や考えを整理・構築する力も問われるようです。
新課程共通テスト試作問題 英語まとめ
今回はリーディングもリスニングも形式としては大きな変更点はありませんでしたが、過去のセンター試験や共通テストと今回の試作問題を比較してみると、知識を詰め込んで点数が取れるテストから、年々文量が増え、思考問題や読み取り問題が増えていることがわかります。つまり、親の時代の入試問題とは大きく異なっていること、受験勉強自体に時間数がより必要になっていることを理解して、子どもを勉強へと早く導くことが必要になります。