Aさん:都下在住です。夫は医師で、私は民間企業で働いています。長男を日能研に通わせていましたが、撤退して、今は他塾の高校受験コースです。
Bさん:23区内の会社員夫婦です。難関校対策のブランド塾(笑)に長女を通わせていましたが、宿題が難しすぎるので辞めさせ、高校受験に切りかえました。今は地元の個別指導に通わせて、算数・数学と英語の勉強をさせています。弟は公文式に通っています。
Cさん:公務員同士の夫婦です。長男が早稲田アカデミーから難関校に進学しました。下の娘も早稲田アカデミーに入れたら、ついていけないし、私が勉強を見てあげるのは時間的に無理なので高校受験に切りかえようか検討中です。夫は単身赴任でいないので、ワンオペで子育てをしています。
中学受験の撤退を考えた理由
司会:高校受験を検討された理由は?
Cさん:うちは、長男は塾に入れっぱなしだったんですが、塾が大好きになったせいか、勝手に勉強して、第一志望の難関校に入りました。それで下の妹も早稲田アカデミーに入れたら、兄より下のクラスなのに、娘は1人で宿題ができなくて(笑)。で、はじめてテキストをちゃんと見たんですがこれが難しい。ちょっと無理かもしれないと感じております。
Bさん:早稲田アカデミーが使っているテキスト「予習シリーズ」※は難しいですよね。うちも早稲田アカデミーに転塾させようと検討したときに、予習シリーズの中身を見ましたから知っています。でも、怖ろしいことに娘が通っていた塾はさらに難しかったんですよ。
※「予習シリーズ」は四谷大塚の公式テキストで、他塾にも販売している。解説が丁寧だが、進度が速く、難度が高い問題も含まれる
Cさん:ええ! 予習シリーズより難しい塾があるんですか?
難しすぎる宿題と親の伴走負担
Bさん:あります。「通塾日数が少ない」っていう宣伝をしていて何も考えず入れました。そうしたら、塾に行く時間が短い分、家でやることが多かったんです。しかもやたら宿題が難しい。それよりなにより娘が学歴厨※になってきてしまったんです。偏差値が高い学校に行くことが正義だみたいな物言いをしたり、「SAPIXの子たちより自分の塾の方が上だ」と謎のマウントを取り出したり。
一方で偏差値は上がらないし、クラスも上がらない。宿題の付き添いに私が疲れちゃって。で、転塾させようとしたら、本人が他の塾に行くなら受験を辞めると言いだして。高校受験に切りかえることには本人も納得したので撤退しました。
※学歴厨=学歴を過度に重視し、偏差値で人の価値を判断する人を指すネットスラング
Aさん:日能研は比較的のんびりだと思って入塾させました。小学4年のうちはよかったんですが、5年になったら宿題が多くなって。校舎の中では上位のクラスにいました。授業はクラスの学力上位の子たちに合わせて進むので、クラスの真ん中にいた息子はついていくのが大変で。宿題も私がついてないとこなせない。
夫が「1人で勉強できないから辞めさせろ。中学に上がったら自立するだろう」と言いだし、本人も「パパがそう言うなら高校受験にする!」と乗っかってしまったんですね。
Cさん:中学受験の大手塾は学習の範囲が広すぎるし、量も多すぎませんか? 栄光ゼミナールや日能研への転塾も検討しましたが、どちらもテキストのボリュームがすごいじゃないですか。あの量を1人で勉強していた長男はすごいなと思いました。娘に関しては国語と算数の2教科の対策に切りかえようと思ったら、今、2教科で受験できる学校が減っているんですね。
高校受験に切りかえると内申点の問題が出てくる
司会:高校受験をさせるとなると、中学校での内申点の問題が出てきますが。
Bさん:うちの娘は勉強は微妙ですが、体育や音楽が得意なんですよ。都立高校入試って実技科目が2倍に計算されるんですよね。だったらそっちの方がいいかなって。
Cさん:長男、小学校の成績悪かったですよ。学費節約のために都立一貫校を受験させようとしたら、小学校の成績がよくないから難しいですよって言われて諦めました。
Aさん:Cさんの息子さんみたいに勉強できるなら高校受験の選択肢も多かったのでは。開成・巣鴨みたいな進学校や、早慶付属など男子は沢山受験できますよね。うちの息子にあのあたりの学校に手が届くかどうか。
私が見張って、内申点を上げて、都立高校を受験させたいと思っています。私も夫も私立一貫校出身で、公立中学の内申点の取り方もちょっと分からないです。内申点の取り方をアドバイスしてくれるという塾に通わせています。
中学受験を続けるべきか、高校受験に回るべきか
司会:Aさんの息子さんは日能研で上位クラスにいたなら、学力的には十分なのでは。
Aさん:男の子ということもあってまだまだ幼いです。こういうことを言っているから受験で負けるんですよね。私の仕事の取引先の担当者はものすごい頑張って息子を慶應の普通部に入れていました。その人は残業を一切しなくなってしまい、連絡が途切れて私は困っていました。私は「あそこまで過保護にして中学受験で合格させても、中学以降どうなるのかな?」って疑問がありました。
Cさん:息子さんも医学部に進学させたいんですか?
Aさん:本人が医者は嫌って言っています。リモートワークできる仕事がいいそうです。
Bさん:獨協は医学部進学に強くて人気が上がっているって聞きますね。日能研で上のクラスならそのあたりは手が届いたのでは。
Aさん:確かに獨協とか巣鴨とか医者の息子は多いですよね。そのあたりに入れるなら、高校受験の方がいいっていう感じですね。あ、夫がそういう感覚です。
Cさん:獨協や巣鴨も中学受験で入るのも超難しいでしょう。うちの娘も偏差値50台の学校なら進学してほしいですけど、そのための親の努力を想像するとちょっとね。私は異動で長距離通勤になってしまったので、娘の宿題に付き添うのは続けられないです。
「中堅校」の感覚がずれていく中学受験の世界
Bさん:うちの娘が通っていた塾の先生が「広尾学園みたいな中堅校」みたいなことを言っていました。それを聞いて「マジ、ここはヤバいかも」と思いました。
Aさん:今、検索したら、広尾の2月1日の四谷大塚の偏差値は64って出てきましたよ。64の学校が中堅校?!
Cさん:早稲田アカデミーはそんなこといいませんが、テキストの予習シリーズは御三家仕様ですよね。
高校受験の準備も小学生から始まっている
司会:Aさんはお子さんを地元の個人塾に入れているんですね。
Aさん:大手塾の「高校受験のための小学生コース」の説明会にいくつか行きました。その時、ある大手塾でテキストを見せてもらって「これは中学3年生用の数学の問題?」と思って表紙を見たら「小学6年」ってありました。「これは新たなる無理ゲーだ」と思ってめまいがしました。
Bさん:分かります!うちも高校受験の大手塾に話を聞きに行ったら、小学生のうちに英検2級をとるのが目標と言われて泣きそうになりました。早稲アカやSAPIXの高校受験コースも中身はいいけど、レベル高すぎるなあと。それで個別指導に入れました。地元の都立進学校に行ってくれたら万々歳です。
Aさん:うちも「内申点をとれるようにしてくれる」と言うので、近所の個人経営の塾にしました。地元の公立中学で学年トップの子も通っている塾で、口コミで人気なんですよ。
Cさん:今日はありがとうございました。高校受験も厳しいことがよく分かりました。
「中学受験撤退組」の話を聞いて
今回の中学受験撤退組はみな「学力的に十分高い」生徒たちのママだった。学力が高いがゆえに苦戦したようにも見える。また、高校受験も難関校対策になると、小学生から戦いが始まっていることも分かる。
※プライバシー保護のため、設定やエピソードを一部アレンジしています。
