元気で長生きするためには、早期の病気発見と治療が不可欠。最近、関心の高い抗加齢ドックはどのように活用したらいいのか。

 人間ドックを定期的に受診している人は多いだろう。胃や肺などの臓器のレントゲン写真や血液検査などから、病気にかかっているかどうかを確認する人間ドックは、生活習慣病やガンなどを早期に発見するには有効だ。

 特に、血圧やコレステロール、中性脂肪、血糖値などが正常の範囲にあるかどうかを知ることは、生活習慣の見直しに役立つ。

 ただし、人間ドックも万全ではない。あくまで現時点での病気の発見が目的であり、そのときにたまたまいい数値が出たということも少なからずある。

 また、最近、人間ドックとの併設で増えているのが抗加齢ドック。

 「未病の段階で患者の体質や老化のトレンド(傾向)を把握し、これから発生しうる病気を予見するもの」と、東海大学医学部付属東京病院の副院長で准教授の西崎泰弘氏は解説する。

 東海大学では2006年から本格的に取り組んできた。西崎氏は「高齢社会に不可欠の検査。長生きしても脳梗塞の後遺症で動けないという事態を早期の予防で食い止めることができる」と言う。

 実際、まったく本人に自覚症状がないのに、動脈硬化がかなり進行している患者に遭遇したこともある。抗加齢ドックでは、動脈硬化測定のための特殊な検査装置がある。頚動脈に超音波を当てることで、血管の内膜と外膜の厚みを測り、血管の硬さや血流の速さや詰まり具合が判定できるという。

 さらには、血液検査で、コレステロールや中性脂肪などを細かく調べるため、動脈硬化が進みやすい体質かどうかも判定できる。
「患者は驚いていたが、データを見て真剣に食事と運動に気をつけるようになった」(西崎氏)

血管の老化度を測定 
老化の進行を抑えることも

 抗加齢ドックの内容は、身体測定や採血、採尿のほか、前述の頚動脈の超音波測定などを行なうもので、通常の検査に比べて肉体的負担がさほど大きいわけではない。ただ、血中の検査項目が多岐にわたり、検査結果が出るのに4週間かかる。