「誰にも内緒だったのに…」税務署が「へそくり口座」を突き止める驚きの方法とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

突然夫や妻が亡くなり、相続手続きを終えた後に税務署から「お尋ね」が届くことがある。相続人の遺産はしっかり調査し、納税は不要と思っていたのに…という場合でも、税務署が「へそくり」の存在に気付いているケースも少なくない。特に専業主婦は生活費の中から工夫し、へそくりをこっそり貯めている人もいる。そのため、亡夫の相続時に「そのへそくりは亡夫の財産であり、相続税の課税対象だ」と相続税に指摘されるリスクがあるのだ。そこで、本記事では税務署がどうやって「へそくり」の存在に気付き、なぜ相続税の対象になってしまうのか、詳しく解説する。夫や妻が家族に内緒で預貯金・現金を隠しているケースにも触れるので、ぜひご一読いただきたい。(税理士・岡野相続税理士法人 代表社員 岡野雄志)

私名義の預貯金口座のへそくりが
なぜ亡夫の相続財産になるのか

 夫婦がお互いの収入から生活費を出し合い、残ったお金をそれぞれの名義で貯蓄するというケースは決して珍しくない。また、子育てや家事を担う専業主婦の場合、夫の収入をやりくりし、夫には内緒で「へそくり」を貯蓄しているケースもあるだろう。しかし、夫婦のお金は「夫が稼いだものは夫の固有財産、妻が稼いだものは妻の固有財産」と考えることをご存じだろうか。

 専業主婦の妻が夫の収入の中から貯めていた「へそくり」は、夫が先に亡くなってしまった場合に夫の「相続財産」として扱われる可能性がある。妻の名前で預貯金口座を開設し、へそくりを貯蓄していた場合は「名義預金」とみなされ、税務署から相続後に追及を受けるリスクがあるのだ。

 税務署は相続税の調査において、被相続人の財産だけを調べるわけではない。その配偶者や子など親族の財産についても詳しく調査を行っている。調査の過程でへそくりによって作られた妻の預貯金口座が発覚すると、妻の通帳を調べるために税務調査に踏み込む可能性もある。

 名義預金が税務署から追及される可能性を知らずに相続税申告を行わず、その後税務署からの「相続税についてのお尋ね」が届いたことで大慌てになるケースも少なくない。

 税務署から届く「相続税についてのお尋ね」とは、相続税申告が必要と思われる相続人に届く通知のことで、税務署は相続税申告の可能性が高く、まだ申告が行われていない人向けに発送している。この通知は相続税申告を強制する内容ではない。だが、申告が必要な可能性が高い人と判断されている証しである。