
一連の損害保険業界の不祥事案を経て保険業法が改正されるのに付随し、具体的なルールである監督指針も改正される。もうまもなく新たな監督指針が公表され、パブリックコメントに付されることになる。そこで、連載『ダイヤモンド保険ラボ』の本稿では、改正第一弾となる監督指針の中身【後編・新規論点編】をいち早くお届けする。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
監督指針改正の第1弾
新規論点編を早出し公開
一連の損害保険業界の不祥事案により保険業法が改正され、また具体的な内容が記された監督指針など保険のルールが大きく変わろうとしている。
その監督指針は複数回に分けて公表され、パブリックコメントに付される予定だが、もうまもなく第1弾となる監督指針が公表される。その全貌がダイヤモンド編集部の取材よって明らかとなったのは、2025年5月9日に保険ラボで配信した『【早出し】保険ルールの大改正!監督指針・第1弾を徹底解説(募集管理態勢・便宜供与・政策株)【前編・既存論点編】』で述べた通りだ。
本稿では後編として「新規論点」を取り上げる。まず、損保プロ代理店を長年苦しめてきた「代理店手数料ポイント制度の見直し」についてだ。これまで金融庁は、民間企業同士の契約であるため制度の中身に踏み込むことはなかったが、有識者会議で取り上げられたことから監督指針で明確化されることになった。保険会社に規模や増収率に偏った評価にならないようにくぎを刺すとともに、保険会社が営業目的で恣意的な運用をしないように求めている。
次に、「保険代理店に対する出向」については、出向者の存在が過度な便宜供与として機能し、商品選択の優先的な取り扱いとならないようにするとともに、個人情報などの不適切な共有を防止する措置を講ずることとしている。

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そして「保険仲立人の媒介手数料の受領方法の見直し」については、これまで仲立人は顧客から手数料を受領できなかったが、顧客に手数料を請求できるように解禁するとともに、その際の注意点が明記される。また、顧客等に関する情報管理態勢については、顧客情報にアクセスできる役職員を限定する「Need to Know原則」を踏まえて適切に管理することとしている。
では、次ページで監督指針・第1弾の新規論点の詳細な中身について見ていこう。