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中国経済のV字回復で囁かれる
「人民元基軸通貨化」の真相

――富士通総研 柯隆 主席研究員 インタビュー

2009年11月11日
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金融危機以降、ドル安・ドル暴落から抜け出せないアメリカ。それに対し、2009年第3四半期のGDP伸び率を8.9%と発表し、順調に“V字回復”を遂げている中国。そうした状況下、「人民元の国際化」の議論が再び高まりを見せている。果たして人民元が基軸通貨になる日は訪れるのか。その可能性と基軸通貨になるための条件を、富士通総研・柯隆主席研究員に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

ドル基軸通貨体制は継続するが、
「備蓄通貨」としての魅力は低下

――金融危機以降、「ドル基軸体制」に対する疑問の声が高まっている。今後ドル基軸体制が揺らぎ、別の通貨がそれにとって代わる可能性はあるか?

か・りゅう
Ka Ryu(か・りゅう)/富士通総研 経済研究所主席研究員。中国南京市生まれ。1986年南京金陵科技大学卒業。92年愛知大学法経学部卒業、94年名古屋大学大学院経済学研究科修士課程修了。長銀総合研究所を経て富士通総研経済研究所の主席研究員に。主な著書に『中国の不良債権問題』など。

 米ドル基軸体制は当面崩れない。ドルは引き続き基軸通貨としての役割を果たしていくだろう。なぜなら、ドルにとって代わる通貨が見当たらないからだ。人民元もユーロも、ドルに代わるほどの力を持っていないのが現状だ。

 「ドル基軸通貨の終焉」について議論をする際、国際通貨を2つの役割に分ける必要がある。1つが決済通貨としての役割で、今後もドルが重要な役割を果たしていくだろう。もう1つは、備蓄通貨としての役割だ。これに関しては、この金融危機をきっかけにドルの魅力が低下しているのは間違いない。つまり、「ドル建て資産をこれ以上持ち続け、追加保有することはリスクになる」ということを、世界中が認識している。今後、各国で国債などの保有調整が行なわれるだろう。

「人民元切り上げ」では
貿易不均衡は是正されない

――「ドル基軸体制の終焉」が議論される背景には、中国経済のV字回復と台頭があると考えられる。世界経済の均衡やアメリカとの貿易不均衡是正のため、人民元の為替レート切り上げは行われるのか?

 この議論には、大きな誤解がある。そもそも外国為替レートの調整によって、貿易不均衡は是正できない。

 人民元は2005年7月21日に2%切り上げられて以来、累計18%程度切り上がった。しかしその間、中国の貿易黒字はちっとも縮小せず、むしろ拡大している。昨年の中国の貿易黒字は約3000億ドルに達した。

〔図1〕人民元の対ドルレートの推移(1994~09年9月)
資料 中国国家外貨管理センターの発表に基づいて柯隆氏作成
拡大画像表示

 つまり、「通貨が安すぎるから貿易黒字が拡大している」わけではない。貿易黒字が増大した結果、外貨準備・外貨資産が増え、それが通貨切り上げの圧力に変わっているだけだ。数%程度の切り上げで元の貿易黒字を縮小することは、とてもできない。

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