マルちゃん「赤いきつね」と「緑のたぬき」CMを比べてわかった違和感の正体
東洋水産「赤いきつね」「緑のたぬき」のウェブCMが物議を醸した。賛否両論となったのは女性が家で一人「赤いきつね」を食べるバージョンである。「性的」だといって炎上させる方がおかしいのだという意見を目にしたのだが、このCMは本当に「性的」だから炎上したのだろうか。(フリーライター 鎌田和歌)
一体どんなシチュエーションなのだろう
炎上というものは案外消費期限が短く、今回もあらかたすでに議論が出尽くして、消化された感がある。
その顛末を簡単にまとめると、一部で批判の声が上がった後、「これを性的だという方がおかしい」といった反論が上がった。ネットニュースの取り上げられた後は、そもそもそんなに「炎上」していないけれど「炎上」と誰かれが言い立てることで炎上しているように見える「非実在型炎上」だったとも言われ始めた。SNSで怒っている人(と、それを見て怒っている人)がいるとすぐに「炎上」だと書いてしまうネットニュースも悪いのだと思う(当記事含む)。
遅ればせながらこの件について言及するが、筆者はあのCMがタイムラインに届いた際にまだ炎上しているとは知らずに見た。初見の感想は、「一体どういうシチュエーションなのだろう」だった。
ドラマを見て泣いているにしては雰囲気がしっとりしすぎているので、失恋直後にテレビをつけるもそこに感情移入できずに泣いているのかと心配になった。また背景の、窓の外に見えるきらびやかなネオンがなんだか非現実的な雰囲気を醸し出して見え、そこにカップうどんが出てくるのが妙にシュールに感じた。
その後、「顔を赤らめた表現になっているからといって、何でもかんでも性的と言うな」というような、批判に対する批判を見かけた。
どうもしっくり来なかったのは、「性的」という声がそれほど大きかったのだろうかという点だ。筆者はこのCMに違和感を持ち、好きか嫌いかで言えば好きではないなと思った。しかしそれは性的だと思ったから嫌なのではない。
女子SPA!による分析記事の中で「まず、本作を『性的に感じるか否か』という二元論で語ってしまうと、本CMで決して少なくない人が感じている『気持ち悪さ』『居心地の悪さ』とのズレがあるのではないだろうか」とあり、これが筆者の感覚と近い。参考記事:「性的に見える」「気持ち悪い」と物議の赤いきつねCMに“確実にある”フェティシズム。CMとしての許容範囲とは(2025年2月19日/女子SPA!)
どうせまた性的だのなんだのと過剰な批判をしているんだろう?と思われそうなので、こうなってくるとなかなか違和感を表明しづらい。なんか変なCMだね〜プププ〜と気軽なツッコミもできない現代である。