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2025年の中学入試もおおむね終了した。その結果を検証しながら、26年入試も展望していきたい。25年入試の特徴の一つと見られた「難関疲れ」の実態はどうだったのか。数値も交えながら、入試日程ごとにまずは男子受験生から振り返ろう。(ダイヤモンド社教育情報)
史上最高水準が継続した2025年首都圏中学入試
2025年首都圏中学入試がほぼ終了した。首都圏でも、神奈川・埼玉・千葉3県では先行して小6人口の減少が顕在化している。1都3県の公立小学校卒業者数は、23年28万6654人から24年28万1328人、25年28万994人だった。少子化は、中学受験に大いなる影響を与える。25年入試はどのような状況だったのか。
森上教育研究所が集計した2月1日午前の受験者数(一部推計も含む)は、次のように推移してきた。23年は22年より1106人多い4万3018人、24年4万2836人、25年4万2789人。四模試の受験者数動向も踏まえた25年の予想は微減だったが、前年比で47人減にとどまったことは驚きである。
その結果、小6人口に対する受験者数の割合を示す「2月1日午前入試受験率」は、23年15%、24年・25年15.2%と、リーマンショック前の08年14.8%を上回る過去最高水準を継続している。これまで、25年入試の特徴として、「難関疲れ」「中堅・中位校人気」「英語導入元年」の三つを挙げてきた。それぞれ検証していきたいのだが、まずは「難関疲れ」について見ていこう。今回は男子受験生編である。
入試日程ごとに「難関疲れ」がどのように顕在化しているかを見ていく。ここでいう「難関」とは、四谷大塚の各年12月模試「合不合80」偏差値によるAランク(65以上)、Bランク(60以上)と考えてほしい。便宜上、Aランクを難関校、Bランクを上位校、C・Dランク(59~55・54~50)を中堅校と呼ぶこともある。なお、ここでいう倍率とは、出願者数を募集定員で割った「出願倍率」ではなく、実倍率(合格者数÷受験者数)のことなので、あらかじめお断りしておきたい。
受験生はランクの高い入試回ほど多く集まる傾向がある。特に「御三家」などと称される伝統難関校は憧れの対象ではあるが、男子の場合おおむね3倍程度の競争状況なので、受験者の3人に2人は涙を飲むことになる。
難関・上位を志望する受験生にとって、A・Bのランクで「安全校」と呼べる入試回を見つけることは難しい。どうしても中堅校の押さえが必要となる。併願戦略を抜きにして受験に挑むことは無謀であり、保護者の情報力も問われることになる。この点は、26年入試に向けての流れを読む上でも重要なポイントとなるだろう。
「難関疲れ」という言葉には、いくつかの意味が込められている。難関・上位校を目指すことに疲れてしまった状態、というのが最も多く見られる意味合いだろう。ある大手塾のベテラン講師が、かつては見られなかった現象として挙げるのは、過度に激しい入試を恐れる保護者の対応だった。「受験に向けて突っ走っていた優秀な4年生が、5年生になった段階で、親に止められた」例があるというのだ。
ドクターストップならぬペアレントストップである。以前の世代ほど難関校を目指せ、という感じではなくなってきている印象を塾側も抱いている。何が何でも「御三家」という雰囲気でもない背景には、学校の選択の幅が広がってきた点も挙げられそうだ。