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太陽電池生産の堺新工場が稼働
それでも消えないシャープの懸念

週刊ダイヤモンド編集部
2010年4月13日
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 暗中模索の船出というべきか。3月29日、シャープは薄膜型太陽電池を生産する新工場(大阪府・堺市)の稼働を開始した。当初は、昨年10月に同じ敷地内で稼働した液晶パネル工場よりも早く立ち上げると予想されていたが、景況悪化による需要減と円高進行のあおりを受けて、生産計画の修正に時間を要した格好だ。

 新工場の稼働にはこぎ着けたものの、第1期の生産能力は年産160メガワット(家庭用で4万世帯分に相当)にとどまる。生産能力は年産1000メガワットまで拡張が可能なのだが、初動はその6分の1程度にすぎない。世界の太陽電池需要の回復が遅れているためだ。

 2008年の世界的な景気後退に加え、最大の需要国であったスペインの電力固定価格買い取り制度が見直されたことなどにより、飛躍的伸長を続けた太陽電池市場が、09年には“踊り場”となった可能性が高い。「欧州市場がフリーズした結果、供給過剰と低価格化が進行し、いまだ解消されていない」(シャープ幹部)という。

 すでに、シャープでは、大規模発電所向けに適した「薄膜型」と、家庭用で普及している「結晶型」という2種類の太陽電池を奈良県・葛城工場で生産している。その合計販売量は10年3月期に770メガワット(前期比82・9%増)となる見通しだ。11年年初には、イタリアの電力会社エネルとの合弁で薄膜型太陽電池の生産を開始する。堺、葛城、イタリアの3工場体制が構築されるわけだが、世界の太陽電池市場の需要回復が追いついていない。

 昨年11月、日本で太陽光発電を導入する住宅向け補助金制度が復活したように、日米の環境政策の遂行は、需要回復の後押しにはなる。だが、長期的な太陽電池市場の拡大をにらみ、中国、台湾、韓国を中心に新規参入メーカーが後を絶たず、太陽電池の低価格化進行に歯止めがかかる兆しはない。

 シャープの太陽電池事業の売上高(10年3月期見通し)は2000億円であり、連結売上高(同)2兆7500億円に占める構成比は1割にも満たない。急成長が見込めなければ、液晶テレビ、液晶パネル、携帯電話に次ぐ「第4の中核事業」と呼べる規模にはならない。

 現況に危機感を抱いたのだろう。4月1日付で、経営管理とソーラー事業担当を兼務していた濱野稔重副社長に加えて、元経理本部長の大西徹夫取締役がソーラー事業統括へ配置された。経営管理面を強化した布陣だが、「管理畑出身者が事業の将来戦略を描けるのか」(ライバル電機メーカー)と疑問を呈する声が上がっている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)

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