株ニュースの新解釈
【第83回】 2012年9月26日 保田 隆明

経済関係の冷却化で困るのは中国?日本?

 こんな時期にと言われそうであるが、出張で中国の上海と大連に来ている。ちょうど1泊2日の上海滞在を終えて、今は上海の空港で大連行きの飛行機を待っているところである。

 まずは皆さんが気になるであろうこちらの反日の状況だが、デモもひと段落したこともあり、特に身をもって反日感情や身の危険を感じることは今のところない。上海は比較的デモも穏やかだったそうで、土地柄ということもあるかもしれないが、普通の海外出張となんら変わらない。

訪問するたびに発展していく中国

 ただ、現地で一緒した駐在日本人の話では、私との待ち合わせ場所に来るときにも2回もタクシーの運転手に途中で降りろと言われたとのことである。客が日本人だから降ろしたのか、何か他の理由があったのかはわからないが、タクシーがやや乗りにくくなっているとのことであった。

 また、街中でジロジロと見られることもあるとのこと。そんな彼らのアドバイスもあって滞在2日目はスーツをやめて、パンツとシャツという服装で出歩いていたのだが、私自身はむしろ中国人に間違われて道を聞かれるなど、ジロジロ見られることはない状況である。

 私が最初に中国を訪問したのは1995年の北京だった。朝の通勤時間には道幅いっぱいに自転車が走り回っていた。その後、2003年、2008年、2009年と訪問し、今回で5回目であるが、以前は中国人と日本人はすぐに見分けがついた。

 1995年の時には、建設中のビルは鉄筋ではなくブロックを一つ一つ積み重ねるものも少なくなかった。また、一般市民でも人民服を着て歩いている人が多かった。しかし、今では日本人がビジネス仕様のスーツでも来ていない限り、なかなか見分けがつかない。したがって、中国の人たちが日本人をジロジロ見ようにも、以前ほどには簡単ではないはずだ。

デモは一部の人だけ?

 こちらでコミュニケーションをした中国人の方々の話を聞いても、基本的には一部の人が反日を盾にして憂さ晴らしをしているだけという日本のメディアでも伝えられる解説であった。

 もっとも、彼らは日本とかかわりのある中国の人たちなので、その発言は多分に配慮してくれているものとして理解する必要はある。「あまり気にするな。でも、街中を歩くときは気をつけろ」というのが彼らからの共通のアドバイスであった。

 実際のところ、われわれはどう理解すればいいのだろうか。

 私自身は特に中国に詳しいわけでもなく、まだたかだか2日間の滞在では答えを持ち合わせてはいない。

 ただ、日本でも官邸前では反原発デモが行われているが、それらデモを行っているのは一部の人たちである。では、そのデモを行っている人たち以外は反原発ではないのか、というとそうではない。デモには参加しないが反原発という一般市民は多数存在しよう。したがって、反日デモ、あるいは反日は一部の人だけ、とこちらにとって都合よく良心的に解釈するのはやや危険な気もする。

 一方、デモは何かに反対するときに行うものであって、賛成デモというのは聞いたことがない。

 反対するときはつい感情的になりがちだが、賛成するときは比較的理論的である。原発にしても、反原発に反対(つまり原発推進派)という人たちは世の中にある一定人数がいるはずだが、それらが大きな声となることはないし、感情的になることもあまりない。そういう「反対デモ」の持つ性質もわれわれは理解しておく必要があるだろう。