バフェットの投資哲学の基本は「買うのは会社であって、株ではない」という名言によく表れています。つまり、株式投資とは会社の一部を所有することなのだから、会社の内容を重視して投資を行なわなければならないということです。
投資家の多くは、株価の動きや経済動向ばかりに目を奪われてしまい、その株を発行している会社にはほとんど関心を示しません。株をたんなる紙切れと誤解しているようです。しかし、株は会社の一部であり、株の価値と会社の価値は同じものです。長い目で見れば、株価はその会社の価値を必ず反映します。ですから、事業の内容をじっくり研究し、成長しそうな会社を見きわめることが肝心なのです。
オーナーになったつもりで会社を調べる
たとえば、あなたが就職するときに、将来性のない会社は選ばないでしょう。自分が活躍できて、経営者が有能で、この先も成長しそうな会社を選ぶのではないでしょうか。株式投資もそれと同じで、「自分のお金を会社に就職させること」と考えればわかりやすいと思います。その会社が成長すると、あなたが就職させたお金も一緒になって成長していきます。それをとおして、あなたの人生は豊かになるのです。
バフェットは、気に入った投資対象を見つけると、その会社をまるごと買収することを好みます。しかし、初期の頃はそれほど資金がなかったですし、資産を築いてからもコカ・コーラのような大企業の株をまるごと取得するのは不可能でした。その場合は一般投資家と同じように株の一部を買いますが、あくまでも会社を買収するときと同じきびしさで投資の判断をしています。
バフェットは次のように言っています。
「保険でも、紙パルプでも、1つの会社に注目したら、自分がその会社を相続したと仮定して調査をします。経営者や大株主の立場で考えるのです。しかも、自分が持っている資産はこの会社だけと仮定します。そのような状況のなかで、会社のオーナーとして自分は何をするのか。何をしたいと考えているのか。どんな競争相手がいて、どんな顧客がいるのか。こういう質問をいろんな人にぶつけてみるのです」