いつも謙虚で控えめなのに、なぜか一目置かれる人がしていることとは? 世界で話題となり、日本でも20万部を超えたベストセラー『「静かな人」の戦略書』の著者、ジル・チャンが待望の新作を刊行。謙虚な人ならではの作戦を伝授する『「謙虚な人」の作戦帳――誰もが前に出たがる世界で控えめな人がうまくいく法』だ。台湾発、異例のベストセラーとなっている同書より、特別に内容の一部を公開する。

「境界線」を引いて、主導権を握る
たとえば、よく上司が夜にLINEを送ってきて、次の日の朝に、「昨日、既読になってたのに、なんですぐに返信しないの?」と訊いてきたら、誰だってうんざりするだろう。
でも相手は上司だ。どうする?
多くの国でのマネジメント経験を持つキャリアコーチ張敏敏(チャン・ミンミン)は、「境界線」を引くことを勧める。
この場合なら、上司に「退勤後の連絡には、すぐに応えられるとは限りません。でも寝る前には必ずチェックするようにします。それで次の日に対応して、午前中にはご報告します。いかがでしょうか?」と話してみよう。
こうでもしなければ、毎度LINEを読んですぐに返信する羽目になるし、こういう働き方でも大丈夫なのだと勘違いして、上司はあなたに常時待機を期待するようになるだろう。
いったん同意して、「質問」する
議論の最中に、先輩風を吹かせたがったり、過去の功績を自慢したり、自分が輝いていた時代について延々と話し続けようとしたりする人がいる。
そんな相手には、あなたの時間と精神を守るために、境界線をうまく使おう。相手の話に同意したら、そこで境界線を引き、質問で話題を切り替えるのだ。
そうすれば話を断ち切れるだけでなく、話題を自分のベクトルに転換することができる。
たとえば、「たしかにむかしといまでは、まったく違いますね。では、先ほどお話ししたチャネルマーケティング・プログラムをサポートするのに、どのようなリソースがあると思いますか?」というように。
職場では、さまざまな人間関係に心が疲れてしまうことも多いだろう。境界線を引いて自分を守ることが、長期的にうまくやっていくコツだ。
(本記事は、ジル・チャン著『「謙虚な人」の作戦帳』からの抜粋です)