6月5日に発売される「Nintendo Switch 2」6月5日に発売される「Nintendo Switch 2」 Photo:JIJI

「転売ヤー、大損こいてざまあ」――2025年6月に任天堂から発売される次世代機「Switch2」は、転売対策が“完璧すぎる”と話題を呼び、SNSを中心にアンチ転売ヤーたちの歓喜の声があふれました。果たして、本当に“転売ヤー撲滅”は達成されたのでしょうか。(フリー編集・ライター 山野祐介)

「Switch 2」の転売対策は
任天堂の「愛」が溢れていた

 4月2日、任天堂は自社の情報配信である「ニンテンドーダイレクト」にて、Nintendo Switch 2(以降Switch 2)の発売を発表した。発売は6月5日。その後の更新で、4月24日以降に順次予約が開始されることや、抽選販売への応募の詳細なども明らかになった。

 ゲーム機としての仕様については既報のため省略するが、販売・予約まわりの仕様が「転売ヤー殺し」であることから賞賛を集めている。

 自社公式販売サイトである「マイニンテンドーストア」での抽選販売については、「今年の2月28日時点で購入・課金したニンテンドースイッチソフトのプレイ時間が50時間以上であること」「有料オンラインサービスであるNintendo Switch Onlineに累積1年以上加入していること」の2点を満たしたユーザーのみが応募できる仕組みとなっている。

 つまり、1人の転売ヤーがいくつもメールアドレスを用意し、複数のニンテンドーアカウントを作成して多重に応募を行うことが難しくなっている。

 もうひとつの転売対策が、言語設定や連携できるニンテンドーアカウントが日本語・日本版に限定された「日本語・国内専用版」と、設定・連携できる言語設定に制限のない「多言語対応版」の2つをリリースしたことだ。「日本語・国内専用版」の本体価格が4万9980円であるのに対し、「多言語対応版」の価格は6万9980円。日本版は2万円安く販売されることになる。

 従来のNintendo Switchは、円安の影響もあってか海外価格よりも日本価格のほうが大幅に安価だった。有機ELモデルの場合、日本版の価格が3万7980円だったのに対し、海外価格は349.99ドル(1ドル150円の場合、約5万2500円)と、日本円にして1万円以上の価格差がついている。

 そのため、国内で販売されたスイッチが海外向けに転売される状況となっていたが、この設定言語の制限によって転売を抑制する意図があるものと思われる。ただし、「日本語版Switch 2では日本語版のゲームソフトしか遊べない」というリージョンロックがかかるかは現状では不明だ。日本語版の本体で海外版のソフトが遊べるのであれば、日本語版にも強い転売需要が生まれる可能性は否定できないが、今後の動向をチェックするしかないだろう。

 転売対策と思われる戦略については、この「抽選販売のユーザー選別」と「設定言語の制限」の2つだが、抽選販売のプレイ時間・課金期間縛りに関しては、発売直後の混乱を防ぐために十分な効果があると思われる。オンラインサービスを利用せずにプレイしていたユーザーや、Switch 2からデビューしたいユーザーにとっては残念かもしれないが、熱意を持ってプレイしていた「お得意さま」を優遇する対応には納得感があり、厳しい対応とは思わない。

 ただし、これは時間の経過とともに緩和されていくものと思われるし、本体を販売するのはマイニンテンドーストアだけではないことからも、転売対策の「本丸」ではないともいえる。