
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第13回(2025年4月16日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)
上げて落とされ
シーソーのような第13回
ハチキンおのぶ(今田美桜)がパン食い競走で1等賞! と思ったら、おなごだからと失格にされてしまった。上げて落とされた第13回。ほんとにこのドラマはシーソーのようだ。
しょんぼりして会場から去るとき、小夏(金井晶)が見ていた。あごをあげて微笑む小夏。微笑み返すのぶ。のぶは失格したけれど、多くの男性に走りで勝ったことは事実。それを小夏は称えているのだろう。男性社会のなかで抗おうとする少数派の女の子たち。彼女たちの大志はいつか必ず報われる。
シーソーの広場に佇んでいると、嵩がやって来た。「みんな女子に負けて悔しいんだよ」「あいつらこそ男らしくないよ」と憤慨する嵩の様子からのぶは、仮病でのぶに出番を譲ってくれたことに気づく。のぶ、走りは早いが、気づくの遅いぞ。